平成24年第1回定例会-03月02日‐07号

  • 村林聡

    度会郡選出、自民みらい、村林聡です。どうぞよろしくお願いいたします。
     では、通告に従いまして、順番に質問させていただきたいと思います。
     まず、一つ目の項目は、川との向き合い方というふうにタイトルをつけさせていただきました。これはどういうことか今からお話ししていきたいと思います。
     地域の人たちとお話をしたり、一緒に地域を歩いたりしておりますと、川の様子が昔と比べると随分変わってしまったというお話をよく聞きました。それも一つの特定の川とかではなくて、あちこちの川でそういう話を聞くんです。宮川の支流のような比較的大きな川でも聞きますし、ほとんど一つ、二つの集落を流れているだけのような川でも同じようなお話を聞きます。
     例えば川が埋まってしまったとかでありますとか、川の中に木が生えてきてしまっているとか、あるいは子どものころにこの橋の下から飛び込んで遊んだんだと。今では考えられないよねといって、川底が顔を出しているところを指さすような方とか、あるいは今は水がないように見える小さな川でも昔はアユが上ってきていたんだというようなお話であるとか、もう少し大きな川になりますけど、天然のウナギが一晩で5本もとれて、今はとれないものでその味が懐かしくてしようがないんだというお話であるとか、川にはびっしりとコケが生えていて、川の中に足を踏み入れますとそれはもう滑って危なかったんだとか、昔はそれくらいコケが生えていたんですよというお話なんかをいろいろお聞きするわけです。
     どぶや排水路にしか見えないような川でも、そこの川を通りかかったときに、たもを持った子どもたちがエビがいたんだといってはやし立てていたことを見かけたときには、ああ、こんな姿をしていてもやっぱりここは川なんだなと、非常に胸が痛みました。
     私は、地域の人たちとこのテーマについて話し合っていくうちに、ひょっとすると行政の言う治水という言葉が偏ってしまっているのかもしれないな。山に降った雨を早く安全に海まで流す、そういう治水なのだから、川が排水路みたいになってしまうのかもしれないなというようなことを考えるようになりました。  そんなときに1人の方が、あんたの言うようなことが書いてある本があるよといって1冊の本を紹介してくれました。それは富山和子さんという方が書かれた本でした。何だかお名前に聞き覚えがあるなと思って経歴のところを見ましたら、著書に『川は生きている』とか、『森は生きている』とか、『道は生きている』といった児童書、子ども向けの本を書かれているというようなことが書かれていました。内容までは覚えていないけど、確かにそういう本を子どものころに読んだなというふうに思い出しました。有識者としても有名な方のようですので、皆さんも御存じかもしれません。
     それで、去年の夏ごろ、ついに思い立ちましてその富山和子さんに連絡をしてみたんですね。私はこういう問題意識を持っているのですけどということで。すると、何とありがたいことに富山和子さん御本人から電話をかけてきてくれたんです。その電話でちょっと聞いてみました。
     山に降った雨を早く安全に海まで流すという治水では川は排水路みたいになってしまうように思うということと、何だか1本の川を見ても行政の管轄によってばらばらに分断されていて、それぞれ自分の範囲は見ていたとしても、だれも1本の川を、全体として1本の川として見ていないように思うんですけど、どうですかということを聞きました。
     そして、その上で一つお願いをしたんですね。先生にお弟子さんはいらっしゃいませんかと。政務調査をしたいので僕と一緒に川を歩いてくれるようなお弟子さんを紹介してくれませんかというふうにお願いしたんです。しかし、先生はこうお答えになりました。残念ですけど、弟子は育たなかったのですと。行政が川をばらばらにしているように、学問の世界も専門分野ごとに川をばらばらにしてしまっているんだと。自分は最初から大学で研究していたというわけではなくて、もともとはジャーナリストで、現場を歩く中でこういった問題があるということに気がついて取り組んでいったんだ。だから、自分しかいないんだというようなことをおっしゃいました。そして、先生からは、ぜひ頑張って取り組んでいってほしいというふうに励ましを受けましたが、そこで考え込んでしまいました。まさか学問の世界までばらばらになっているとは思っていなかったものですから。
     考え込みますと、ひょっとしてこの国を覆う閉塞感というものも実は同じ問題なんじゃないかなということまで思いました。それぞれが専門分野で一生懸命やっているんですが、全体としては何も変わらないというようなことが実は起きているのではないかというようなことまでそのとき考えてしまいました。
     考えた末、しかし、そうすると、やっぱりまずは行政が川を全体でとらえるというところから始めるべきではないかというふうに考えるようになりました。そう考えますと、三重県には宮川流域ルネッサンスという事業があるわけです。
     ここでまず質問をさせていただきますが、宮川流域ルネッサンス事業のこれまでの取組と成果を教えてください。政策部長、どうぞ御答弁よろしくお願いいたします。

  • 政策部理事(梶田郁郎)

    それでは、宮川流域ルネッサンス事業の取組と成果について御答弁させていただきます。
     宮川流域ルネッサンス事業は、豊かな自然とすぐれた地域資源が存在します宮川流域を日本一の清流を有する地域として次世代に引き継ぐということを目的としまして、平成9年度から環境保全とか、魅力ある地域づくりなどに総合的に取り組んでまいりました。
     これまでの取組を通じまして宮川が全国一級河川における水質日本一、これを5年連続で獲得しておるのをはじめまして、森林の整備とか、宮川流域案内人という方がいらっしゃるんですが、これらの方々が地域の自然とか、歴史、文化、こうした地域資源を生かした取組をしていただいておりまして、多くの成果を上げてきました。また、宮川流域ルネッサンス協議会を中心に、住民とか、企業、行政等様々な主体が参画する取組が地域に定着してきたところでございます。
     県といたしましては、今後とも宮川流域ルネッサンス協議会に参画しまして、地域と協働のもと、宮川流域の保全、再生に取り組むとともに、地域の主体的な地域資源を生かしたこうした取組を支援しまして、宮川流域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
     私からは以上でございます。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
     部長かと思ったんですけれども、小林部長は総合行政というような話を前も伺わせてもらったんですが、この宮川流域ルネッサンス事業というのは、総合行政で部局横断型、そして、川を流域としてとらえていると、そういう理解でよろしいのでしょうか。
     それと、宮川流域の諸課題を解決するためのもので、地域づくりの事業であるというふうに伺っておるのですが、その理解でよろしかったでしょうか、そのあたりを。

  • 政策部理事(梶田郁郎)

    宮川流域ルネッサンス事業というのは、その流域、山から川を通じて海までのその流域につきまして、その河川整備とか、森林整備とか、それから、地域住民の方々の自主的な活動への支援とか、そういう流域づくり、地域づくりとして取り組んでいるものでございます。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
     ということは、やはり総合行政で部局横断型、川を流域としてとらえていて、そして、市町や住民、NPOなどとも連携して取り組んでいるということですね。非常に先進的でとてもすばらしい取組であると今お伺いいたしました。
     しかし、宮川流域ルネッサンスは宮川流域の諸課題を解決するためのものということなんですけど、あえて川に対する基本的な向き合い方という一番根本の部分に目をつぶっているということではないでしょうか。宮川流域に様々な課題が出てきているので、それを解決していこうということですけれども、様々な課題が出てきているのは、大もとの原因として川との向き合い方に問題があるからではないでしょうか。このままの向き合い方で必ずしもいいというわけではないだろうと思うのです。今の向き合い方が最善ということではないだろうと思うのです。今こそ新たな向き合い方を模索するときに来ているのではないでしょうか。  ここで、私から提起させていただきたいと思います。宮川に限らず、それぞれの川の本来のあり方、それぞれの川の本来の姿とはどうあるべきなのか。そして、その観点から山から海までという意味での川を一体的に見ていくという人が行政には必要なのだと考えます。
     ここで言う川とは、山も海も含みます。流域全体という考え方にさらに海を含めるということになります。海、山、川を一体的におさめることこそが本当の意味での治水であると考えます。富山和子さんの言葉をおかりすると、「水系一貫」ということだろうと思います。それが今はばらばらになっています。
     上流から見ていきますと、例えば森林行政というものは林業振興があり、環境林対策があり、規制行政である保安林というものもあります。公共事業ということであれば、治山事業があり、砂防事業があります。そして、もちろん狭い意味での治水である河川管理というものもあります。水質改善ということであれば、生活排水対策ということになりますし、利水という面でもさらに分かれていって、水道事業、工業用水道事業、農業用水、そして、排水ならば下水道事業、河口のほうに行けば港湾、漁港、海岸、海岸も農地海岸などとも分かれてきますし、さらに沿岸ということを考えますと、漁場整備、藻場の再生であるとか、底質改善であるとか、こういうふうに非常に多く分かれています。それぞれの人、それぞれの部署、みんなそれぞれ全力を尽くしてくれていると思います。しかし、それらは全体で見て一体的に描かれるものではないでしょうか。
     ここで、知事、私の今提案しました川を一体的に見ていく人が必要なのではないかということについて御感想をいただけないでしょうか。今のところ、県の中に所管はないでしょうし、答えられる範囲で結構でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 鈴木英敬知事

    例えば今、川をトータルにとらえた治水のお話をいただきました。その治水というのも、だんだん河川法の改正とかに伴って考え方が環境のことが加わっていったりと、いろいろ変遷を経ていっているわけでありまして、そもそも川と向き合うということ自体をどうとられるかということもあるとは思うんですが、本日御指摘いただきましたような考え方も、治水のことでこれから河川整備計画とか、いろいろまだつくっていかなければならない水系もたくさんありますので、御指摘いただいたような視点なんかも踏まえて、しっかり河川整備の計画の策定にも取り組んでいきたいと思います。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
     多分、これは非常に今までの枠組みを全く超えた話であります。ですから、職員は今の枠組みの中で忠実にお仕事をなさるわけですから、これは政治家としての知事が恐らくどう考えるのかということになろうと思います。午前中の質問で石田議員が地方から国を変えるんだというようなお話をたしかされたと思うんですけれども、今の国の枠の外のことかもしれませんが、ぜひ政治家としてこういう部分を心にとめていただければとお願い申し上げます。
     日本は、古来より、この国の風土に合った治水に対する考え方や技術というものをはぐくんできました。例えば戦国大名で武田信玄とか加藤清正という人がいます。信玄堤は有名だと思います。江戸時代になりますと、熊沢蕃山、野中兼山、そして、度会郡南伊勢町の郷土の偉人、河村瑞賢といった方々が有名です。
     このころの治水化は同時に林業化でもあったといいます。河村瑞賢は上流の治山と下流の治水を一体的に整備すべきという認識を既に持っていたと言われています。また、この時代は、洪水というものについて、単に水の破壊力だけではなくて、濁りという面を非常に重要視していて、濁りを防ぐ技術や工法も発達していたそうです。
     このような日本古来の治水から現在の治水の考え方に転換したのは明治維新以降ということになります。私はこの転換を否定するものではありません。国民、県民の生命、財産を守る上で大きな効果があったと思います。しかし、それが行き着くところまで行き着いた現代において様々な課題を生じさせていることも事実です。ならば、時代が動こうとしている今こそ、さらなる転換のときと考えます。これまでの100年をさらなる100年のために。つまりは、日本古来の考え方と現代技術を調和させるということではないでしょうか。
     現在は川を堤防の中に封じ込め、川の持っている機能を人間が代行している状態だと思います。それを川が本来持っている力を生かしていくという方向へ転換するということではないでしょうか。現時点では私はこのように考えています。あくまで現時点ではです。私は1人の議員としてここまで申し上げてきましたような問題意識を持っていろいろ調べてまいりました。しかし、そろそろ限界のように思います。
     ここで要望させてください。県として調査をしてほしいのです。川とは一体的にどうあるべきものかということですね。宮川ではちょっと大き過ぎると思いますので、もっと小さい中小の河川をモデルにとってできれば調べていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
     この項目の結びに少し感想を申し上げます。
     今回、この質問をするに当たりまして、宮川流域ルネッサンスの考え方が一番近いということで政策部が私の意見交換に応じてくださいました。何か、今、通告の行き違いがあったような気はいたしますが、政策部と意見交換をさせていただきました。しかし、山から海までを一体的に見ていくということになると、これはむしろ環境行政の最先端のテーマということになるんじゃないかなと、そんなふうに思います。そんな感想を申し上げまして、次の項目へと移らせていただきたいと思います。
     2番目の項目です。獣害対策のその後というタイトルをつけさせていただきました。ここまでかなりたくさんいろいろ獣害対策の質問をさせていただいてきておるのですけれども、今まで申し上げてきましたことの中から二つ今回取り上げさせていただきたいと思います。
     一つ目がこの6月に一般質問で取り上げさせていただきましたわなの口径の問題です。12センチという大きさで今規制がかかっておるわけですけど、それは三重県にクマが出ると。そのクマを保護するためにクマの足が入らない大きさである12センチという規制があるわけですけれども、三重県全域でクマが出るわけではないですよね。ということで、地域の実情に応じて柔軟に考えていただけませんでしょうかということを6月に提起させていただきました。そのときの御答弁は適切な対応をとっていきたいというようなものであったと理解しておるのですけれども、その後いかがであったかということを教えていただきたいと思います。御答弁をよろしくお願いします。

  • 環境森林部長(辰己清和)

    獣害のくくりわなの直径の件でございますが、くくりわなというのは、輪にしたワイヤーロープを地面に埋めて、シカやイノシシが通ったときに捕獲するという猟法でございますが、これにつきましては、先生御指摘のとおり、鳥獣保護法で輪の直径が12センチ以内というふうに決められておりまして、ただ、その中で特定鳥獣保護管理計画、この達成を図るために特に必要がある場合にはこの規制を解除することができるということでございます。
     県では、これまで、ニホンジカとイノシシにつきまして、特定鳥獣保護管理計画によりまして1日当たりの捕獲頭数の緩和であるとか、それから狩猟期間を延長するなどの規制緩和によって捕獲の促進を図ってきたところでございます。
     御指摘がありましたように、紀伊半島には生息しておりますツキノワグマが絶滅危惧種にも指定されておるのでございますが、小型であるというようなことから、誤ってわなにかかるおそれもあって、ツキノワグマを保護する観点から12センチの規制の解除を見合わせてきました。
     ただ、他県でも12センチの緩和をかなりやられておるというようなことがございまして、それで、御指摘いただいていますように、ニホンジカとかイノシシによります農林業の被害が減少する傾向が見られないということから、来年度、平成24年度の猟期からツキノワグマの生息を確認されております大台町ほか5市町を除きまして、直径を12センチ以内とする制限を解除していきたいというふうに考えております。
     それで、現在、今年の11月1日から始まる猟期の適用に向けまして、この規制緩和を盛り込みました第3期ニホンジカ特定鳥獣保護管理計画、それと、第2期イノシシ特定鳥獣保護管理計画について、実は本日行われておるんですが、自然環境保全審議会に諮問しているところということで、手続を進めておるところでございます。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
     規制緩和の方向でいろいろ準備していただいておると、そのように理解いたしました。ありがとうございます。今日を境にという理解でよろしいんですよね。何か奈良県のほうはそういう川が境だったりすると思いますが、今回、今日を境にクマが余り出ないと思われる地域は緩和していただけると、そのように理解いたしました。ありがとうございます。
     二つ目が動物との交通事故の話なんです。
     これは2009年の一般質問でこの場で提起させていただきました。私もぶつかったんですけれども、あのときは自分の車の破片をここに持ってきておったりしたわけですが、非常にその後も同じように話を次々と聞いているところです、地元で事故が多いということを。
     例えば車の板金屋ですね。そこを訪ねますと、3台車が壊れていて、全部シカだと。板金屋は冗談じみて、あんた、獣害対策を一生懸命言うてくれておるみたいやけど、余りやらんでええでとか言ってみたり、おれ、道でシカが倒れておったら人工呼吸するわとか、そんな冗談を言うくらい板金屋には非常にシカで壊れた車がたくさんあります。
     今日は一般質問ということで、朝早く暗いうちに南伊勢町を出て、車で走ってきたんですが、道路上におるシカですね。本当に道路に出ておるシカだけで3頭会いました。幸い事故はなかったわけですけれども、非常に車を恐れていないですね。ガードレールの道側におって、クラクションを鳴らしても動じないという状態です。あるいはヘッドライトに飛び込んでくるとか、いろんなお話を聞いておるところなんですが、この2009年に提起させていただいたこの問題はどうもその後進んでいないというように感じております。今回も一般質問でこの項目を取り上げるに当たりましていろんな部署の方に意見交換をさせていただこうとしたんですが、どこの部署も自分の仕事だとは思っていないという状態だと思います。
     そんな中で、今回、県警のほうが御厚意で、わかる範囲でのデータということで少しいただきました。(資料を示す)動物との交通事故ということで統計として特化してとっているわけでもないし、公表もしていないということなんですけれども、現在わかる範囲ということでその数字をいただきました。
     例えば物損事故だとシカが70%以上を占めておるわけなんですが、2009年で142件、2010年で263件、2011年で205件、動物全体になりますと2009年で212件、2010年は多くて340件、2011年は279件と。全体の事故の大きさに比べますと非常にパーセンテージとしては少ないのかもしれませんが、全く無視できるような数字ではないのではないかというふうに思います。そして、まだここにつかみ切れていない数字というのが実はたくさんあるんじゃないかなというふうにも思います。
     ですから、ぜひこれは県警だけの話ではもちろんないと思うのです。環境森林部、農水商工部、道路管理者である県土整備部、そして、市や町ですね。市や町とも連携して、まずは実態の把握をしていただきたいと、そのように思います。2009年のときは政務調査費を使わせていただいて、三重大学に委託してアンケートをとらせていただきましたが、結構な数の結果が集まってきましたし、また、県土整備部であれば、道路上でひかれたシカなんかを処理しておるというような実績も恐らくあると思います。新しい獣害のカテゴリーとして取り組んでいってもらいたいと思うのです。
     自分の考えとしましては、市や町とも連携する中で、非常に発生頻度の高い箇所というのは限られてくると思うのです。自分も経験上、ここには毎晩シカが出ると思うポイントが幾つもあります。あるいはここは危険なので夜はもう通らないという道さえあります。ですから、そういう目撃情報や調査をしていただいて、そこへ例えば市や町と連携して何か囲うということではなくて、恐らくとるということのほうがいいのではないかなと私は思いますけれども、何かしらの対策をしていっていただきたいと改めて深く要望したいと思います。なかなか答弁を求めてもどこと、皆さん、自分では答えるところではないと思っておられるようですので、今回も要望させていただきます。どうか今申し上げました皆さんが連携してこの問題に取り組んでいただきたいと。よろしくお願いいたします。
        〔「知事から順番に答弁させれば」と呼ぶ者あり〕

  • 村林聡

    今、議場でそういう御発言がありましたけれども、ということで、どうぞ御要望いたしますのでよろしくお願いいたします。
     では、ちょっと時間があれなんですけど、もう少しじっくり腰を据えていかないと、何か、思ったよりも早いペースで進んで、びっくりしておるのでありますが、三つ目の予算編成についてという質問項目に入らせていただきたいと思います。
     まず、要望をさせていただきたいんですが。     〔発言する者あり〕

  • 村林聡

    また要望かという発言がありますので、できれば答弁をいただけますでしょうか。
     総務部が今回、中期の財政の見通しというものをつくられました。そういう中で、財政を再建するために、県債残高を減らすためにいろいろな部分をカットするというような、公共事業やいろんなものをカットしなければいけないんだというような試算だったと思うんですけど、財政再建というのは必要な予算を確保するためにするものだと思うんですね。必要な公共事業、例えば生命、財産を守るためのものとか、どうしても必要なものがあると思うんですけれども、そういった事業を切ってまで財政再建するということでは本末転倒になるんじゃないかと思うのですが、御所見はいかがでありましょうか。

  • 総務部長(植田隆)

    財政再建についてお答えさせていただきます。
     財政再建と言われますのは、いわゆる標準財政規模で5%、本県の場合でしたら標準財政規模が4000億円でございますけれども、それの5%、すなわち200億円の赤字が出れば、今の財政再建の団体、赤字団体になるということでございます。
     そうなった場合には再建計画の策定を求められますし、そうなる前に予防的な措置として、今国のほうで法律は決められておりますけれども、なる前にやはり県としても予防策をとる必要があると思っております。
     また、そういう事態になれば、最低限の行政需要におこたえするべきものに限って予算化をするというさらなる事業の選択が求められると考えております。
     以上でございます。

  • 村林聡

    済みません、突然の御答弁ありがとうございます。
     今聞き方が悪かったんですね。財政再建という用語はそこまで行った場合に使うということですね。
     そうしたら、もう少し聞き方を変えさせていただきますと、県債残高を減少に転じさせるということで中期の見通しを今回つくっていただいたという試算が出ておりましたけれども、公共事業というものが将来世代に対しての公平性を担保するために借金をすることは将来世代につけを残さないとおっしゃる知事の話と、その兼ね合いはどのようにお考えでありましょうか。再質問をよろしくお願いいたします。

  • 総務部長(植田隆)

    借金といった場合、本県におきましては二つ分けております。臨時財政対策債と国のほうで地方財政対策の中で決められるもの、それから、発行について本県での意思決定の中で発行できる建設地方債、この二つがあろうかと思っております。その中で、やはり公共事業につきましては主に建設地方債が当たってくるわけですけれども、それは資産が残っておる中で負債があるという形の中で、それは将来に負債を残すというものではないと考えておりまして、一方で、例えば財政措置のない、いわゆる赤字地方債というようなものを削減していく必要があろうかと思っておりますし、それは今回、建設地方債等の中で含んでおりますもので、それの削減を目標として掲げておるということで、そこの区別ははっきり分けて考えてはおります。

  • 村林聡

    確かに試算の中に赤字地方債という数字が出ておったと思うんです。しかし、今、建設地方債の中に赤字地方債も含まれておるという御説明がちょっとよく理解できなかったのでありますが、もう一度お願いできますでしょうか。

  • 総務部長(植田隆)

    建設地方債の中に赤字地方債が含まれているのではなしに、二つに、臨時財政対策債等の本県の裁量のないものと裁量のあるものとを分けた中に、裁量のあるものの中に建設地方債とか赤字地方債が入っておると。その裁量のあるものの対象として、今回、平成26年度末の県債高を平成23年度末よりも減らしていくということの目標を立てたところでございます。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。  そうしましたら、赤字地方債というものは公共事業に充てられるということもあるということでありましょうか。もう一度お願いできますか。

  • 総務部長(植田隆)

    公共事業の財源配分としましては、国の国補公共事業になりますけれども、補助金が当たりまして、その残りとして建設地方債が当たってくるということで、そのところに赤字地方債は充てるということではございません。建設事業の中に赤字地方債を充てるということではございません。

  • 村林聡

    ということでありましたら、減らすべき借金というのは赤字地方債であって、建設地方債は将来世代につけを残すものではないと今御答弁いただきましたよね。ということは、必要な公共事業をカットしてまで県債残高を減少に転じさせるということではないというお考えですか。

  • 総務部長(植田隆)

    建設地方債は、道路とか、それの耐用年数の期間内に発行できるということになっておりますもので、その償還に見合う、負債に見合う資産があるわけです。ですから、赤字地方債は負債に見合う資産がないという形で将来に負担を残すという意味で言っております。

  • 村林聡

    ということは、赤字地方債は何に使うための借金ですか。

  • 総務部長(植田隆)

    例えば今の県でいいますと、例えば退職手当債でありますとか、そういうところに当たっておるのがいわゆる赤字地方債で分類できるかと思っております。

  • 村林聡

    よくわかりました。ということは、今申し上げたような必要な公共事業をやっていくということであれば、赤字地方債は増えないということですよね。臨時財政対策債のような県の裁量とは違う建設地方債や赤字地方債を減らしていくということですけど、建設地方債は将来に負担を、つけを回すものではない。赤字地方債こそが県債残高として非常に問題のあるものだから、これを圧縮していくためにいろいろなものを我慢しなければいけないときもあるというように聞こえたんですが、であるならば、必要な公共事業というものは確保しても建設地方債で賄えるというように理解いたしましたが、よろしかったでしょうか。

  • 総務部長(植田隆)

    必要な公共事業に対してはきちっと財源手当てをするということで考えております。

  • 村林聡

    ありがとうございます。わかりました。
     このように、今のような素朴な質問を重ねていこうというのが今回の予算編成についてという項目でありまして、実際にこうして素朴な質問を重ねていく予定だったのは包括配分方式の問題であります。今からそちらを素朴な質問シリーズでいきたいと思います。
     今議会で包括配分の仕組みがいろいろ議論されました。よりよい仕組みに見直すというのがどうやら知事のお考えのようなのでありますけれども、その包括配分方式についてぜひ、先輩議員なんかはよく御存じだと思うんですが、共通認識を持たせていただくために今のように素朴に聞いていきたいと思います。
     まず、包括配分方式とはどういうものなのか。右肩上がりの時代が終わって、マイナス予算を組まなくてはならなくなって出てきた方式だというように聞いているんですけど、そういう理解でよろしいでしょうか。まずそこをお願いいたします。

  • 総務部長(植田隆)

    いわゆる包括配分制度につきましては、より県民の満足が得られる行政サービスを提供するため、県庁内の分権化を一層進め、各部局長がその権限と責任において執行するということを目的に、平成14年度の当初予算の編成から導入されたものでございます。
     県民のニーズや実態をより的確に把握できるのは事業を実施する各部局であり、また、事業成果の検証に基づく見直しを行うことにより、県民に必要な事業、サービスの取捨選択を行うことができるというところから有効な仕組みであると考えております。

  • 村林聡

    権限移譲、より現場に近いところで必要な事業を判断してもらおうという御答弁だというように理解いたしますが、一面、非常にお金が減っていくというマイナス予算を組んでいく中で、どうしても毎年予算全体を削っていかなければいけないという中で、優先順位をやはり現場の方がきちんとつけてもらうということだと理解したわけですが、それはやはり右肩上がりの予算状況がよいから、よいときはむしろそういうことをしなくてもいいわけですよね。やはり時代背景としてマイナス予算を組まなければならないから出てきたという一面があると理解してもよろしいでしょうか。

  • 総務部長(植田隆)

    その右肩上がり、右肩下がりという話ではなしに、要するに庁内分権という中で、すべて今まで総務部がしておりました予算の配分を各部局長に枠で配分を渡しまして、その中で現場に近い各事業担当部局の中で予算編成をしていただくという趣旨でございます。

  • 村林聡

    なかなかかたくなにそこの部分を認めていただけないようなのですが、では、初めてこの包括配分方式を採用されたときはマイナス予算でしたか、それとも右肩上がりのときでしたか。

  • 総務部長(植田隆)

    平成14年につきましては7631億円ということで、前年から比べて0.3%の減の予算になっております。

  • 村林聡

    であろうと思います。必要は発明の母といいますが、やはりそのマイナス予算という中で出てきた方式であると私は理解しております。
     では、その包括配分方式の運用の仕方を教えていただきたいと思います。各部に権限移譲して、各部に判断してもらうということでありましたが、その各部はどうやって優先度を判断されているのか、教えていただきたいと思います。

  • 総務部長(植田隆)

    各部局長に一般財源ベースで予算を配分した中で、各部が部局の中での優先順位をつけた中で、その中で予算の配分を行っております。

  • 村林聡

    私が聞こうとしておるのは、どうマネジメントされておるのかということです。今議論されておるのは、薄く広くということがデメリットになるということでありますが、各部においてきちんと優先判断がついておるということでなければ、当然薄く広くということになってしまうと思います。どのように優先度が判断されておるのかということを伺いたかったのであります。

  • 総務部長(植田隆)

    確かに各部局に一定額を配分して、各部局長のマネジメントの中でやっていただくという意味ではメリットがあったかと思いますけれども、ずっと続いております厳しい財政状況の中で包括配分を削減するというときには一律に薄く広く削減する方策がとられるなど、デメリットの面も出てきておることは確かでございます。

  • 村林聡

    つまり今の御議論ですと、部長の優先度判断をすることができれば広く薄くとなっている問題というのは補えるということではないのでしょうか。人間には得手不得手がありますから、例えばマネジメント能力が苦手な部長にはマネジメント能力のすぐれた副部長をつけてサポートするとか、そういった工夫をすることで運用の問題として改善することはできないんですか。それとも仕組み自体に問題があるとお考えですか。そこを聞かせていただけませんでしょうか。

  • 総務部長(植田隆)

    仕組み自体は機能しているとは思いますけれども、そういうマネジメントの中で、優先順位をつける中でのマネジメントの反省点もあろうかとは思っております。

  • 村林聡

    よくわかりました。御答弁ありがとうございます。  そうしますと、これからよりよい仕組みを目指して見直していくということでありますけど、やはり優先度の判断というのが一番大事なんだというふうに理解いたしました。
     そうであれば一つ御提案をいたしたいのでありますけれども、きちんと各部の優先度というものをすべて丸投げするのではなくて、各部が優先度をきちんとつけておるかという部分については、最低限総務部がチェックをなさるという方式をとられてはいかがかと思います。どんな仕組みであってもそこがなければ結局同じなのではないかなと、今の素朴な質問を連ねて感じさせていただきましたので、一つ御提案とさせていただきます。済みません、部長、いろいろありがとうございました。
     次の項目へ移らせていただきます。
     では、四つ目の項目、防災についてということです。
     四つ目の一つ目、(1)が避難路整備などについて市や町を支援してほしいと、そういう項目です。
     この間、12月4日に南伊勢町で避難訓練がありました。僕は南伊勢町に住んでおるんですが、南伊勢町は津波の高さが、今回の東日本大震災があって非常に大きな被害が出たので、逃げる高さを20メートルまで引き上げました。ですから、最寄りの20メートルの高台というのが示されまして、そこへ逃げてくださいということになりました。時間になると皆さんリュックを背負って一斉に高台を目指したわけなんですけれども、しかし、私の最寄りの高台というのは、お寺があって、そのもう少し高いところにお墓があって、さらにその上に上った広場が20メートルなんです。今までの避難する場所はこのお寺でよかったんですね。全員まずお寺に集まったんですけれども、ここから先が非常に急な坂道で、手すりも何もないので、もう今回はここまで、もう上に上ることはやめておこうと、けが人も出るからということで、3人ばかり、僕も含めてその20メートルの高台まで見に行ったというようなことがありました。恐らくこれからこの避難路というものを町が整備していくということになるんだと思うんですけれども、こういった整備を県として支援していっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。御答弁よろしくお願いいたします。

  • 防災危機管理部長(大林清)

    市町、地域における避難路整備についての県としての考え方でございます。
     県では、この東日本大震災の発生を受けまして、最大級の津波を想定した新しい津波浸水予測調査を実施して、その中で浸水予測図でありますとか、津波の到達時間、津波の高さを市町のほうに御説明をさせていただいて、市町の皆さんと意見交換を行って地域の実情を踏まえた避難所の適正配置とか、避難方法について今具体的な取組の働きかけをお願いしておるところでございます。
     そうした中で、市町におかれましては、例えば先ほど御紹介ありました南伊勢町でも全住民を対象とした津波避難訓練など、県内各地でもこれまでにない規模で訓練も実施されておりますし、伊勢湾岸の市町のほうにおかれましては、津波避難ビルの指定の取組が進んでいる状況がございます。
     地域の津波避難体制を着実に整備するために、県としましても、そうした市町の取組をしっかりと支援をしていきたいというふうに考えておりまして、本年度も避難路整備など市町の減災対策を支援するために、地域減災力強化推進補助金におきまして市町の要望を受けまして予算の増額を行ってきたところです。現在、市町では、それぞれの地域の実情に応じたそうした避難体制整備の取組を進めていただいております。
     平成24年度におきましても、この地域減災力強化推進補助金につきまして、平成23年度6月補正予算を大幅に上回る額を確保しておりますので、引き続き市町が実施するそうした避難施設整備でありますとか、避難路整備などについて支援をしていきたいというふうに考えております。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
     聞くところによりますと、各市や町のやりたいことを聞いて回ったりしていただいておるということでありますけれども、ぜひそういった現場のお話を聞いていただきたいと思います。
     今回、20メートルの高さまで実際逃げたわけですけれども、ただの吹きっさらし、周りは木が生えておりますけど、広場です。ほかの避難訓練に参加された別の五ヶ所とか、もっと離れた場所でされた方にもお話を聞いたんですけど、やはり急に20メートルというふうに変わりましたので、本当に吹きっさらしの高台だということです。
     避難路をまず整備することが大事でありますけれども、最低限の雨風、そして、冬に震災が起きたということを考えますと、やはり寒さ、津波が引くまでに1日、1日半、2日とか、ずっとその高台に吹きっさらしで真冬におるということになりますと非常に厳しい状況が想像されます。地元の人がせめてキャンプに使うぐらいのテントがあったらまだしのげるなとか、そういうことなんかも聞いたりしますので、そんなことなんかもぜひ考えてほしいなと思います。
     ある集落の取組では、高台に何か物置みたいなものをつくって、各家庭、1個ずつ段ボールをそこへ置けるんやそうです。自分の必要な持ち出し品をそこへ詰めて、あらかじめ高台に置いてあるので、本当に身一つというか、軽い防災用のリュック一つで速やかに高台まで逃げられるような工夫をしておるんだなんていうような話も聞いたりしております。
     これから国の動きを見ながらということになるのでしょうけれども、重要施設の高台移転でありますとか、そういったこともぜひバックアップしていただければなと思います。
     個人的に一つ前から気になっておりますのが県の油の備蓄とでもいうんでしょうか、いろいろな施設で発電機を動かしていくと思うのですけれども、今回、東日本大震災で油というものが非常に不足したというようなことを伺っております。本当にそれが3日分でいいのか、1週間分でいいのか、その辺をぜひまた御検討いただいて、備えていっていただきたいと御要望させていただきます。ありがとうございます。
     では、(2)津波に強い養殖業のほうへ移りたいと思います。
     今、東日本大震災のお話をいたしましたけれども、この県内の三重県の水産業はかつてない大きな被害を受けました。40億円とか、そういう規模だと思います。
     養殖業の被害は甚大で、一部では壊滅的な被害なんかも受けて、廃業の危機とか、そういうものに追い込まれた方々もたくさんおられました。現場を見て、写真を撮って、それをレポートにして農水商工部にお届けさせてもらったり、全員協議会の場でいろんな声を伝えさせていただいたら、それを非常に柔軟に、私の言ったようなことをきちんとそういうところへ明記していただいて取り組んでいただいたことを感謝申し上げます。
     また、補正も組んでいただいて、いろいろな支援をしていただいて、今復興へと少しずつ動き出しておるわけですけれども、三重県の養殖業が復興して、もともと厳しい状況でしたから、さらに強いものになっていくというための取組をこの補正予算でしていただいておるはずですが、それについてと、もう一つまとめて質問させていただきたいんですけど、2年連続で津波がやってまいりましたし、台風の災害なんかもいろいろ起きてきたりもいたしました。そういう中で、今回の補正予算の中で養殖施設の減災対策というものを取り組んでいただいておると、そのようにも伺っておりますが、今後、その成果なんかもあわせてお聞かせいただければと思います。

  • 農水商工部長(渡邉信一郎)

    まず、東日本大震災で被害を受けました本県養殖業の復興支援でございますが、私ども、まず、早急に必要な漁場環境の回復でありますとか、激甚災害制度を使いました養殖施設の復旧、それから、稚魚の購入資金の無利子化などに取り組んできております。現在、復旧に取り組む養殖施設のうち8割以上が作業を完了して、復興は着実に進んでおると思っております。
     養殖業は、つくる養殖業からもうかる養殖業への転換が非常に大切だと思っておりまして、平成24年度からは新しいノリの品種であるとか、カキ殻を利用した新しい貝の養殖技術の開発等、付加価値化に取り組んでまいりたいと思っております。
     また、減災対策でございますけど、2年続けての大きな被害、津波被害ということで、養殖施設の減災対策をということで、三重大学と私どもが連携してガイドラインを作成してまいりました。ガイドラインの作成もほぼめどが立ちましたことから、今後は県内の各漁業者に普及させるとともに、できれば宮城県など東北地方の養殖業の方々にも情報提供できればと思っております。
     以上でございます。

  • 村林聡

    ありがとうございました。時間になりましたので、終結いたします。ありがとうございます(拍手)

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