平成31年定例会-02月20日-03号

  • 村林聡

    それでは、こんにちは。ありがとうございます。今、声援をいただきましたので、ありがとうございました。度会郡選出、自民党会派の村林聡です。初めての代表質問となりますので、よろしくお願いいたします。
     では、まず大きな1番、平成31年度三重県経営方針に込められた知事の思いと当初予算というように置かせていただきました。まず、この経営方針の1節を読み上げたいと思います。
     新しい時代の始まりに際し、三重県らしい、多様で、包容力ある持続可能な社会の実現に向けて、県民の皆さんが夢や希望を持ち、明るく前向きに挑戦、活躍しつづけられるよう、次の世代に向けて、三重の未来を紡いでいかなければなりません。こうあります。
     ここの部分が知事の思いなのだろうと。そしてキーワードは、次の世代、次世代なのではないかと私は受けとめました。当初予算は、この経営方針をもとに編成されているはずです。骨格的予算とは言いながらも、既に対前年度よりも規模の大きな予算になっているのは、知事としてどうしてもやらなければならないという思いが込められているのでありましょう。
     そこでお伺いします。経営方針と当初予算に込められた知事の思いを改めてお聞かせください。
     また、あわせて、骨格的予算の肉づけ分として保留されている部分の考え方を、財源が担保されているのかを中心にお聞かせください。
     御答弁をよろしくお願いいたします。

  • 鈴木英敬知事

    私のほうからは二つ御質問いただいたうちの1点目、経営方針の次の世代に向けてに込めた思いについて答弁させていただきます。
     5月には元号が改まり、平成から次の時代への橋渡しが行われる歴史の節目を迎えます。
     昨年のダボス会議において、カナダのジャスティン・トルドー首相が、今ほど変化のペースが速い時代は過去にはなかった。だが今後、今ほど変化の遅い時代も二度と来ないだろう、と述べられていたように、将来を予見することが難しい時代に私たちはいます。
     こうした新しい時代の始まりに際し、いつ発生してもおかしくない自然災害など、県民の皆さんの不安を除去し、安全で安心して暮らし続けられるよう、また、夢や希望を持ち、明るく前向きに挑戦、活躍し続けられるよう、次の世代の皆さんにバトンを渡すことが私たちの責務であるとの思いを込めました。
     そこで、平成31年度は未来への希望を支える安全・安心の観点から、これまで以上に安全・安心に軸足を置き、時代を的確に見据えながらしっかり前向きに取り組んでまいります。
     知事を約8年やらせていただいて、日々の目の前で起こる危機管理事案とかの対応、そういうのも大事ですけども、もちろんそういうのもしっかりやるんですが、やらせていただくにつけ、今日の、あるいは現在における私や三重県庁の日々の行動が本当にこの未来に、次の世代にどういう地域を残せるかということを左右するんだというのを、この約8年の中で実感を持っています。そういう意味で私たちは日々の行政の運営が大事で、それがどういう地域を残せるのか左右するので、そういう緊張感と自覚を持ちながら平成31年度、事に当たっていくことが三重県庁にとって大事ではないかと、そういう思いを込めてこの言葉を使わせていただきました。

  • 総務部長(嶋田宜浩)

    それでは、私のほうからは2点目の6月補正予算の財源は確保されているのかということについて、御説明させていただきます。
     平成31年度当初予算は骨格的予算として編成し、原則として新規事業の計上を見送っておりますけれども、県民生活の安全・安心を守るための緊急性の高い取組や新規事業の着手が遅れることにより、年度内での事業完了、成果が見込めず1年遅れの着手とならざるを得ないような事業については、新規事業を含めて計上しているところでございます。
     新規事業以外では、公共事業や私立学校等振興補助金の一部等についても当初予算での計上を見送り、6月補正まで判断を留保しているところでございます。
     6月補正の規模については、今、現時点で言及することはできませんけれども、6月補正まで判断を留保している事業は、公共事業で約140億円、私立高等学校等振興補助金で約20億円など、総額で約180億円となっております。
     骨格的予算として編成した平成31年度当初予算に対する肉づけとして6月補正予算を編成する際の財源としては、財政調整基金のほか、特定目的基金や国庫補助金、地方債などの特定財源を組み合わせることで財源を確保していくことになるというふうに考えております。
     このうち、平成31年度当初予算編成後における財政調整基金残高は57億円となっております。災害等の不測の事態に備え、一定の残高、これは10億円程度というふうに考えておりますけども、こういったものは確保しておく必要がありますけれども、それ以外の残高は、基本的に31年度の補正予算の財源として使うことが可能と考えております。
     この規模、当初予算編成後の財政調整基金残高でございますけども、これについては、過去の骨格的予算編成時と比較しますと、平成19年度が22億円、平成23年度が69億円、平成27年度が83億円となっていますので、平成31年度においても一定の規模が確保されているというふうに考えておるところでございます。
     以上でございます。

  • 村林聡

     御答弁ありがとうございます。
     まず、財源のほうの話から、約180億円の肉づけ予算を留保していて、まだその6月補正の規模等はわからないけれども、財政調整基金に57億円を積むと。で、そのうちの10億円が災害対策分なので、残りの47億円がその元手になるだろうという御説明だったと思います。これを元手に様々な起債であるとかそうしたものをしながら公共事業などをやっていくんだろうということだと理解しました。一定、安心しましたので、ぜひとも機械的に置いた80%の公共事業分などがきちんと確保、100%化されていくように期待しております。
     知事のほうからは、次の世代へという思いを御答弁いただきました。ありがとうございます。次の世代へバトンを渡す責務があるので、今回の予算は安心・安全に特に軸足を置いて編成されたという強い思いをいただいたと思います。日々の毎日の積み重ねの対応も重要だけれども、その積み重ねこそが将来を左右するのだと。この言葉を聞いて、たしかイチローでしたかね。小さいことを積み重ねていくことがとんでもないところに行く唯一の道なんだというような言葉を思い出しました。力強い思いを語っていただけたと思います。ぜひとも今後ともよろしくお願いいたします。御答弁ありがとうございました。
     それでは、大きな2番の次世代のための均衡ある県土ビジョンの項目に入ります。
     キーワードとして次の世代というのがここにも出てまいります。国土の均衡ある発展という言葉が使われなくなって久しくなりました。長年の課題、人によっては永遠の課題などと言う南北格差の問題は解消されることなく今現在もあります。従来の均衡ある発展は、三重県中に新幹線を敷くというようなものでありましたが、現在必要なことはそういうことではないと考えます。南北格差の解消のためには、農山漁村は農山漁村で輝き、都市部は都市部で輝くという均衡ある県土ビジョン、均衡ある三重の姿が必要であると考えます。
     そこで、質問いたします。次の世代へ積み残すことなく南北格差を解消するという知事の決意をお伺いします。御答弁をお願いします。

  • 鈴木英敬知事

     本県の南北格差の解消に向けた決意ということでございます。
     本県における地域間格差について、例えば平成27年度の一人当たり県民所得で見ますと、県全体の約356万円に対し北勢地域は約1割高く、伊勢志摩地域は約8割、東紀州地域は約7割にとどまっており、若干の動きはあるものの、この傾向はここ10年間で大きな変化はない状況です。
     また、1月に公表されました住民基本台帳人口移動報告2018年結果によりますと、本県は4225人の転出超過となっており、そのうち県人口に占める割合が約2割にとどまる南部地域において、転出超過が2004人と半数近くを占め、北中部地域と比較すると人口の流出はより厳しい状況です。全国の状況を見ても、地方から東京圏への人口移動は23年連続で転出超過であり、前年と比較し1万5821人拡大しています。
     本県における地域間の所得格差や人口流出の状況は、東京をはじめとする大都市圏と地方との関係のように、日本の抱える構造的な問題であり、三重県は全国の縮図でもあると言えます。
     一方で、地方創生の実現に向け今年度設置されました国の地域魅力創造有識者会議においては、地方へ移住を支援するNPO法人への問い合わせが10年間で約10倍に増え、特に30代までの若い世代の割合が増加するなど、若者の地方移住への関心が高まっていることから、地方への新しい人の流れを強化することが必要であるとの報告がされています。
     本県においても、県及び市町の施策を利用した移住者数が順調に増加しています。
     東京一極集中の是正は、私たち地方自治に携わる者が取り組まなくてはならない責務であると考えています。
     伊勢志摩地域や東紀州地域では厳しい状況が続いていますが、伊勢神宮や世界遺産である熊野古道、美しい自然、豊かな海と山の幸など、世界に誇る地域固有の資源が数多くあります。こうした地域資源を最大限活用し、これまで以上に観光の産業化や農林水産業の6次産業化を進め、交流人口の拡大や働く場の創出を図ってまいります。
     また、大事なことは、今申し上げました産業面のことだけではなくて、暮らしというところにも焦点を当てていくことが大事で、それぞれの地域で希望を持って住み続けられるよう、医師の偏在解消や子育てしやすい環境の整備、地域の文化、郷土への愛着を育むキャリア教育などに取り組み、地域を元気にする新しい人の流れがより確実なものとなるよう、総合的に施策を展開してまいります。

  • 村林聡

     御答弁ありがとうございます。
     平均所得が8割、7割というような南部の状況や県全体で4000人以上転出するうちの人口流出が、そのうち南部の占める分が2000人以上というようなかなり厳しい、まず現状の認識を示していただいた上で、日本全体の縮図というお話がありましたけれども、三重で起きておることは、ほかの地域でも起きておるのだろうとは思いますが、ぜひとも、何と言うのかな。だから、こそ三重で打開すれば日本中が打開できる可能性もあると思うので、ぜひともその構造の問題があるということを認めていただきましたので、今後しっかりと切り込んでいっていただきたいとお願いします。
     また、暮らしに焦点を当てて希望を持って住み続けられるようという、こういう明るいお話もいただきました。この辺の思いは私も一致するところですので、ぜひともこれからも機会があればいろいろ議論させていただきながら、考え方とか様々なこれから基本的な枠組みとかそういうところからまた議論して、いろいろまたいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
     この問題を今は南北格差という視点から質問いたしましたけれども、北には北の難しい課題があると思っておりますし、南には南の今議論したような難しい課題があるのだと思います。そして、伊賀に県政なしという言葉も久しく言われてきました。この言い方は余り私は好きではないんですけれども、西には西の難しい課題があるのは間違いありません。それぞれがそれぞれで輝ける均衡ある三重の姿となるように、ぜひとも今後ともお取組をよろしくお願いします。この点は要望といたします。
     続けて、今度は大きな3番へ入りたいと思います。防災・減災対策についてというように置かせていただきました。その(1)番、次世代への継承と防災意識の醸成というふうにタイトルを置きました。
     この質問にも次世代という言葉がかかわってきます。知事におかれましては、就任当初から、防災・減災対策に注力されてきておられますし、先月の出馬表明の際にも防災・減災対策を真っ先に挙げておられました。先ほどの議論でもそこに軸足を置いて次世代に、安全・安心の次世代にバトンを渡すんだという力強い思いも聞かせていただきました。
     今年は伊勢湾台風から60年、昭和東南海地震から75年という節目の年に当たります。こうした大災害の記憶や記録は、今を生きる我々にとって非常に重要なものでありますし、あわせて、次の世代にも継承していかなければならないものです。
     そこでお伺いします。伊勢湾台風から60年、昭和東南海地震から75年を迎え、過去の教訓を次世代に継承し、県民の防災意識の醸成を図るため、どのように取り組むのかお聞かせください。御答弁をよろしくお願いします。

  • 鈴木英敬知事

     過去の災害の教訓を次世代に継承し、県民の防災意識の醸成を図るためにどう取り組むのかということについて答弁をいたします。
     私たちは、過去の過酷な被災経験を受けとめ、同様の苦しみを生み出さないためにも、経験した災害の教訓を次世代へ継承し、防災意識の醸成を図っていくことが大切です。
     平成30年度の防災に関する県民意識調査速報では、高い防災意識を持っている方の割合が70.8%となり、昨年より15.6ポイント増加しました。
     これは、東日本大震災以降、薄れつつあった防災意識が、大阪府北部を震源とする地震や北海道胆振東部地震、平成30年7月豪雨をはじめとする風水害等により高まったものと考えられます。
     しかしながら、実際に地域や職場で訓練等の防災活動に参加する県民の割合は47.7%と、前年度より0.5ポイント低下しており、意識が行動につながっていないという課題が見られます。特に、20代から30代が他の年代に比べて低い数値となっており、若者や子育て世代の防災活動への参加を促進することが今後の重要な視点と考えられます。
     本年は、伊勢湾台風60周年、昭和東南海地震75周年の節目を迎えます。県では、こうした節目を捉え、自治体災害対策全国会議、犠牲者の追悼式、シンポジウムなどの行事を開催することとしています。
     その中では、災害の備えの大切さなどを次世代に継承することを取組の柱に掲げ、児童・生徒による防災学習の発表会、子どもや子育て世代を対象とした啓発イベントなどを計画しているところです。
     また、大規模災害時を想定した緊急消防援助隊近畿ブロック合同訓練、伊勢湾台風60周年防災訓練の実施や、三重県防災対策推進条例の見直しも同時期にあわせて行うことで、県民の皆さんの防災意識の醸成につなげていきます。
     このほか、次世代への継承に関しては、防災ノートの活用や学校防災ボランティア事業による県内中高生の東北被災地訪問に加え、防災啓発車による小中学生を対象とした地震体験、防災技術指導員による子どもたちを対象としたHUG、避難所運営ゲームですけれども、や防災すごろくなどの取組を粘り強く実施します。
     また、みえ防災・減災センターでは、過去の災害の教訓を次世代へつなげていくためのツールとして、みえ防災・減災アーカイブを運用するとともに、防災紙芝居などの子ども向けのツールを提供し、地域の児童館で活用していただいており、これらの活動についても引き続き実施してまいります。

  • 村林聡

      御答弁ありがとうございました。
     高い防災意識に比べて行動のほうが伴っていないというお話がまずあって、午前中の議論でも実際、避難しないと答えた方のアンケートの割合が高くなっているというようなこともあったかと思います。
     また、若い世代で低くなっているという問題意識をまずおっしゃって、実際にやることとして、子ども向けも含めた様々な行事でありますとか防災訓練、そして条例の見直しまであわせてされるという御答弁でした。
     やはり防災に関しては、かなり力を入れておられる知事ですので、期待できる答弁だったと思います。ぜひともこの流れでしっかりと取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
     ここで私の意見を一つ申し上げておきたいと思います。ちょっと誤解を受けるといけないんですけれども、趣旨としては正しく恐れることが重要だということで申し上げたいんですけれども、南海トラフを震源とする大地震、大津波は、向こう30年間で80%の発生確率と言われています。ということは、今日明日にでも起こるかもしれない反面、30年後でも起こっていない可能性があるということですよね。正しく恐れることが重要で、30年先を見据えたような息の長い取組も諦めずにやっていくことが重要であると考えております。
     例えば、同じ集落の中で家を建てかえるときには、今より少し高台の土地を求めるとか、そういう息の長い取組もあっていいと、そういう地道な取組もあってもよいのではないでしょうかという意見でございます。意見だけですのでまた聞いていただいて、今後の取組なんかでまた議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
     続けて、この大きな3番の中の(2)想定される危機の範囲についてと(3)感染症への危機対策についてに入ります。この二つは一括して質問させていただきます。
     まず、(2)想定される危機の範囲について、東日本大震災の後、想定外という言葉が注目された時期がありました。そして、想定外をなくそうと様々な想定が見直されてきました。このことは、もちろん意義のあることですが、近年の頻発する災害を見ておりますと、想定外の事態とは起きるものだとあらかじめ想定しておいたほうがよいのでは、と考えるようになりました。
     東日本大震災以後、1000年に1度の大地震、大津波は想定されるようになりました。では、火山の噴火リスクはどうなのでしょうか。最近、気象庁が噴火リスクを見直したという報道を目にしました。近いところでは、岐阜に火山があるそうですが、例えばこれは県として想定するべきものなのでしょうか。
     1000年に1度から時間の尺度をどんどん広げていきますと、1万年から2万年に1度、九州の阿蘇山や姶良カルデラなどでは破局的噴火というものを起こしているそうです。そうなれば、西日本には人が住めなくなるなどと聞きます。
     さらに、時間の尺度を1億年単位に広げますと、恐竜が絶滅するような隕石のリスクもあるかもしれません。
     まず、この一つ目の質問が、県行政として事前に想定し備えておくべき危機とはどの範囲とお考えでしょうか、御所見をお聞かせくださいというものです。
     続けて、大きな3番の(3)感染症への危機対策についても質問します。地震や津波、風水害等の自然災害への備えは一定進みつつあると評価しておりますが、では、新型インフルエンザなど社会的影響が大きい感染症への対応はいかがでしょうか。私はまさに事前に想定し、備えておくべき危機であると考えます。
     現在、本県において感染力の強い麻疹、はしかの患者が増えている状況があります。また、今年の冬もインフルエンザが全国的に猛威を振るっています。これらはいずれも強毒性のものではないものの、新型インフルエンザやそれと同様の未知の感染症に対応するための準備は必要でありましょう。
     そこで、二つ目の質問です。新型インフルエンザなど社会的影響が大きい新感染症への対応について、どのように取り組んでいくのかお聞かせください。一つ目の質問とあわせて御答弁をよろしくお願いします。

  • 危機管理統括監(服部浩)

     まず、想定される危機の範囲ということで、私からお答えを申し上げます。
     県では、災害対策基本法に基づき、本県に係る災害対策を規定した三重県地域防災計画を策定し、災害対応を行っています。
     この計画では、地震、津波、風水害などの自然災害に加え、危険物施設等の事故、航空機、列車、船舶の事故、油の流出事故、近県における原子力施設の事故、大規模火災、林野火災についても対策を規定し、想定される事案の発生に備えているところでございます。
     また、こうした事案のほか、石油コンビナートにおける事故、水質汚濁、新型インフルエンザの発生、家畜伝染病など、法令等に基づき個別の計画等が定められている危機事案については、それらの計画等に基づき対応することとしています。
     例えば、現在、他府県で感染が拡大している豚コレラについては、緊急に情報共有を図る必要があることから、三重県豚コレラ対策対応マニュアルに基づき、速やかに三重県豚コレラ対策本部を設置し、対応しているところでございます。
     近年、食の安全であるとか感染症といった健康や経済活動に悪影響を及ぼす事件、事故など、様々な危機事案が発生しており、今後、想定外の事案の発生も考えられるところです。
     このため、県では、県民の皆様の生命や暮らしなどに好ましくない影響を及ぼす危機事案の発生時には、三重県危機管理計画に基づき、知事の指揮監督のもと、迅速な情報収集や初期対応を行っています。
     中でも、県民の皆さんの生命や暮らしに重大な損害を与える危機については、危機対策本部を設置し、発生した事案に応じた対策の実施、関係機関と連携した情報共有等を行うこととしています。
     今後も災害や危機事案等が発生した場合は、県民の皆様の生命や暮らしを守ることを最優先にし、生活への影響が最小限となるよう適切に対応してまいります。

  • 医療保健部長(福井敏人)

     私からは2点目の新型インフルエンザなど社会的影響が大きい新感染症への対応について、お答えをさせていただきます。
     新型インフルエンザや社会的影響の大きい新感染症が発生した場合には、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、国と地方自治体が連携して対応することとなっております。
     このため県では、新感染症等が発生した場合に備えまして、三重県新型インフルエンザ等対策行動計画を策定をしております。この計画では、未発生期、県内発生早期、県内感染期など五つのフェーズごとのとるべき対応を定めておるところであります。  県内におきまして患者が発生した場合である県内発生早期では、感染症指定医療機関等への入院措置、濃厚接触者への健康観察などの措置を保健所が中心となって行うことになります。
     また、国の緊急事態宣言を受けまして、県民に不要不急の外出自粛を要請するなど、感染拡大防止のため、様々な対策を進めることとしております。
     感染症発生時に県民生活や県民経済に及ぼす影響を最小に抑えるためには、未発生期であります平常時からの対策が重要と考えており、医療機関や消防、警察などの関係機関と連携をし、新型インフルエンザやエボラ出血熱の発生を想定した患者の搬送、受け入れ訓練を毎年実施をしております。
     また、新型インフルエンザ等発生時におきましては、県内の医療機関受診者数が最大で36万8000人になることを想定しておりまして、それに対応できるよう抗インフルエンザウイルス薬の備蓄等を行っているところであり、今後も関係機関との連携を強化して対策を進めていきたいと考えております。
     以上であります。

  • 村林聡

    はい、御答弁ありがとうございました。
     まず、想定している範囲というのは、基本的にその地域防災計画に書かれておる範囲だと聞かせてもらいました。様々な事故や原子力災害、大規模火災、石油コンビナートなども含めて規定していると。
     また、新型インフルエンザや家畜伝染病、豚コレラなどはそれぞれ個別に対策や対応マニュアルがあって、やっていっているという御答弁だったと思います。
     もちろん想定外の事態というのは起こり得ると県としても考えていて、そうした危機事案については危機管理計画のもと、危機対策本部を設置してやっていくんだという御答弁だったと思います。
     また、新型インフルエンザなどの新感染症などについての御答弁のほうは、特別対策措置法やそれに基づいた行動計画があり、私は重要だと思っている不要不急の外出の自粛なども御答弁いただきましたし、平常時からの対策が重要であるということで、毎年訓練を実施していること、そして新型インフルエンザについては36万8000人の患者が出るということを想定されて、抗インフルエンザ薬の備蓄なんかも進めておられるという御答弁をいただいたと、そのように理解しました。毎年しっかりとこうした新感染症の対策の訓練をやっていただいておるという御答弁で安心はいたしましたけれども、ぜひともこうした現在進んでおるような自然災害への訓練に負けないように継続的にしっかりやっていただきたいと。知事のよくおっしゃる訓練でできないものは本番では絶対にできないというような気概で、医療関係者やその他の関係者の皆さんとしっかりと連携して取り組んでいただきたいとお願い申し上げます。
     そして、この質問で私が申し上げたかったことをまとめますと、想定すべきものは事前に想定して備えるということでありましょうし、一方で、想定外の事態とは起きるものだという前提で、柔軟な対応力をつけておくことが重要なのだろうと、そのように考えたわけであります。今、不要不急の外出自粛の話なんかもありましたけれども、行政が行うべきこと、行政が県民に呼びかけるべきことというのは二つの両極端に振れるのかなというふうに感じております。一つはしっかりと適切に避難してもらうこと、もう一つは今お話のあった不要不急の外出を控えてもらうこと、自粛してもらうことという、こういう二つに大きく分かれるのかなと感じております。
     ぜひとも今後の検討や研究をしていただきたいと御要望申し上げておきます。御要望申し上げて、この大きな3番の項目を閉じます。
     続けて、大きな4番、道路の維持管理についての質問に入らせていただきます。ここでは三つの項目を一括して質問させていただきます。
     まず一つ目は、(1)として道路維持管理予算の確保についてです。
     12月の一般質問で道路区画線の引き直しについてお伺いした結果、道路の維持管理予算が足りないのではないかという印象を受けました。新しいものをつくることも重要ですが、今あるものを良好に使えるようにすることも同じくらい重要であります。どういう考え方で予算を確保しているのか、必要最小限の予算確保はできているのかということをお聞かせください。
     続いて二つ目が、(2)として道路沿いの樹木についてです。12月の一般質問の後、道路区画線の問題もさることながら、道路に樹木が覆いかぶさっているのが怖い、危ないという声が私のもとに寄せられてきています。これも維持管理の問題であり、県の道路管理者としてどのように取り組んでおられるのかお伺いします。
     また、以前、中部電力の方とお話ししたときに、こうした樹木が台風のときなどに停電を引き起こす原因となると聞きました。何でも配電線への接近樹木という言い方をするそうなんですけれども、行政との連携を望んでおられるようでした。国土強靱化や災害復旧の観点からも連携してはいかがでしょうか。
     続いて三つ目の質問が、(3)として交通安全施設整備についてです。恐らくこの議場にいる議員の皆さん全員が交通安全施設の予算が充実することを望んでいると私は感じておるんですけれども、来年度の予算や取組はいかがでしょうか。
     以上、御答弁をよろしくお願いいたします。  

  • 県土整備部長(渡辺克己)

    私からは、道路の維持管理予算の確保と道路沿いの樹木の枝払いの対応についてお答えをいたします。
     道路をはじめとする公共土木施設の維持管理費につきましては、施設の適正な管理を行っていく上で重要であり、平成31年度予算についても必要額が確保できるよう、精査の上、要求してきたところです。
     そのような中、平成31年度当初予算における公共事業費については、前年度当初予算の80%程度を骨格的予算として計上し、国が取りまとめた防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策への対応につきましては、所要額を計上することとなりました。
     なお、骨格的予算の編成に当たっては、債務負担行為の設定状況や事業実施時期などを考慮し、年度当初から必要となる事業については予算に計上しており、当面の事業執行に支障が生じないように配慮をしております。
     道路の維持管理については、新たな道路の整備により管理する道路施設が増加するとともに、高度経済成長期に整備した多くの施設が老朽化し、その対策が必要となっています。
     橋梁などの道路施設については、修繕計画を順次策定し、その計画に基づき事業を実施するとともに、区画線の引き直しや舗装修繕、のり面対策等については実施箇所の選定基準を定め、優先度の高い箇所から順次計画的に事業を実施しています。
     さらに、道路パトロール等を行い、異常や損傷等の早期発見に努め、常に良好な状態に保つよう、随時緊急的な対策も実施しております。
     このように道路の維持管理では、多様な業務に取り組んでおり、これらの予算を確保することは大変重要であると考えております。
     統一地方選挙後に想定される予算の肉づけにつきましては、平成31年度国予算の内示状況を踏まえつつ、公共施設等適正管理推進事業債等の県財政に有利な起債を活用するなど、維持管理に必要となる予算の確保に向け取り組んでいきたいと考えております。
     次に、道路沿いの樹木の枝払い等につきましては、車両や歩行者の交通の安全を確保するために、一定の幅や高さの範囲において、障害となるものがないよう空間を確保する道路の建築限界という考え方に基づき対応しています。
     県管理道路沿いの樹木は、非常に多く、成長もすることから、道路上への枝葉の張り出しなどの対応には苦慮しているところでございますが、道路パトロールや道路利用者等からの通報により、随時、枝払い等を実施しています。
     また、支障となる樹木が民有地にある場合においては、所有者において御協力をいただいておるところでございます。
     一方、電気通信線に近接する場所につきましては、これらの線を切断、損傷しないように、作業の依頼も含め、電線管理者の協力のもと、枝払いを行っているところであります。
     また、台風等による電線への倒木や電柱の倒壊などを発見した際には、速やかに電線管理者への通報を行っています。
     今後も、道路沿いの樹木について、異常気象時における停電や通行どめによる県民生活への影響を少しでも軽減できるように、電線管理者と情報共有を行い、さらなる連携について検討していきたいと考えております。
     以上です。

  • 警察本部長(難波健太)

     来年度の交通安全施設整備についてお尋ねがございました。私からは予算の面と、それから道路管理者との連携の面について答弁をさせていただきます。
     平成31年度の当初予算につきましては、摩耗の進んだ横断歩道や老朽化した信号制御器の更新を一層進めるために、平成30年度の当初予算と比較しまして、2834万7000円の増額となります7億6054万5000円を計上しております。
     とりわけ道路標示につきましては、平成29年度から予算を増額して塗りかえを進めておりますけれども、新たな摩耗の進行によりまして塗りかえが必要となる道路標示が多数また存在をしております。
     そこで平成31年度につきましては、道路標示予算としまして平成30年度当初と比較して7224万2000円増額となります1億7767万7000円を計上しております。
     特に、横断歩道につきましては、歩行者が安心して利用できるよう視認性の確保が不可欠でありますことから、約2000本の横断歩道に加えまして、これに直近する停止線を一体的に塗りかえることで、交通規制の実効性を担保したいと考えております。
     次に、道路管理者との連携でございますが、この道路標示の塗りかえにつきましては、道路管理者と連携をし、同時施工を進めております。これは道路管理者の実施します区画線の塗りかえと施工の場所や時期を調整するものでありまして、平成30年度は60カ所で施工を完了しております。
     さらに、今年度は、県土整備部と検討を重ねました結果、新たな取組としまして、一体施工を試行的に実施することといたしました。これは警察と道路管理者の工事を共同で発注するものでありまして、現在、伊賀市内の国道163号におきまして施工を進めております。平成31年度につきましても、引き続き、効果的、効率的な取組を進めたいと考えております。
     以上でございます。

  • 村林聡

     御答弁ありがとうございました。
     まず、維持管理予算の確保のほうですけれども、乏しい予算の中ですけれども、しっかり取り組んでいただいている、努力いただいているということは伝わってまいりました。
     そしてまた、現在、機械的に80%の骨格的予算で公共事業が置かれておるわけですけれども、その肉づけ予算時にも、予算確保に有利な起債などを利用して予算確保に努めていただけると、そういう御答弁だったと聞かせていただきましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
     つくった施設は良好に提供されるというのがやはり基本でありましょうし、12月の一般質問で明らかになったとおり、剥離度Ⅳというかなり磨耗しておる道路区画線については、やはり一刻も早い解消を要望させていただきます。
     続いて、道路沿いの樹木の問題のほうですけれども、現在、建築限界という考え方で取り組んでいただいておるという御答弁だったと思います。
     しかし、私のところに寄せられておる声からすると、必ずしも建築限界、5メートルとたしか聞いたと思うんですけれども、もう少し高いところの話も多いように思いますし、さらに積極的な取組をできれば検討いただきたいと、そのように要望させていただきます。
     また、木の根っこが民有地にある場合にも、難しいとは思うんですけれども、どうした取組ができるのか、法律上の整理なんかもできれば今後考えていただけるとありがたいかなと、そのように聞かせていただきました。
     そして、ありがたいことに電線管理者とのさらなる連携は検討いただけるという御答弁でした。ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。
     そして、三つ目の交通安全施設のほうであります。予算をかなり増額していただいて、特に道路標示には7200万円余りも増していただいて、横断歩道なんかの塗りかえをしっかり取り組んでいただけるというように聞かせていただきました。
     また、これも12月の一般質問のときに私が提案させていただいた分だと思うんですけれども、新たに道路管理者との一体施工を12月の質問なのにもう既に試みに行っていただいておる、試行いただいておるということですので、本当に早速のお聞き届けいたしましたことを厚く御礼申し上げます。予算の厳しい中ですので、こうした取組が少しでも予算の縮減に役立てばと、活用できればと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
     では、大きな5番に入りたいと思います。行政事務手続の簡素化と置かせていただきました。
     県民の皆さんからいただいた税金は、皆さんへの行政サービスに使うために集めているわけです。その行政サービスになるまでの手続が複雑で煩雑であると税金が目減りしてしまうと考えます。
     例えば、地域おこしの国の補助金でコンサルタントを頼まないと申請書も報告書もつくれなかったという事例を聞いたことがあります。また、町の役場でも手続が複雑で煩雑であるため、コンサルタントを頼んだことがあるという話を耳にしました。
     一方で、こうした複雑で煩雑な書類をもらった側も、国とか県になろうと思いますけれども、チェックをしなければならず、そのための人件費がかかっているはずです。
     そこでお伺いします。県に裁量のある申請書などの手続書類は、県民や市や町の担当者にとってわかりやすく簡素なものであるべきと考えます。これまでの県の取組や今後点検するお考えがあるのかお聞かせください。よろしくお願いします。

  • 総務部長(嶋田宜浩)

     行政事務手続の簡素化についてお答えをさせていただきます。
     行政手続の簡素化につきましては、国において平成28年6月に日本再興戦略2016が閣議決定されまして、事業者目線で規制改革、行政手続の簡素化、IT化を一体的に進める新たな規制・制度改革手法の導入が示されたところでございます。
     さらに、これを受けまして、平成29年3月には、規制改革推進会議において、重点分野の行政手続コストを3年間で20%以上削減することや、行政手続の電子化の徹底、同じ情報は一度だけの原則、書式、様式の統一といった行政手続の簡素化の3原則を決定し、各省庁において基本計画が策定され、取組が進められております。
     なお、地方公共団体の協力が前提となる分野は、関係省庁からの要請により国と地方が一体となって取り組むこととなっており、例えば、総務省から協力要請のあった一度の手続で電子納税することができる地方税共通電子納税システムの導入について、今、協力して取り組んでいるところでございます。
     また、県では、独自に業務プロセス等の再点検を行う仕事リフレッシュやMIE職員力アワードなどの取組を通じ、事務手続の削減など簡素化等に取り組んできたところでございます。
     また、今後、内部統制制度の導入に向けた準備を来年度から本格的に進めることとしておりますけれども、内部統制制度は、適正な事務処理の確保を図ることを主目的とする一方、業務の効率化や業務目的のより効果的な達成等にも寄与するものであり、国のガイドラインにおいても業務プロセス等の可視化を検討することになっておりまして、その中で行政手続の簡素化の視点も取り入れて検討していきたいというふうに考えております。
     また、公正かつ適正な事務手続の観点も踏まえ、県としてチェック機能はしっかりと果たしつつ、申請手続などの行政手続の簡素化を進めることにより、県民サービスの一層の向上につなげていきたいというふうに考えております。
     以上でございます。

  • 村林聡

     御答弁ありがとうございます。
     まず、規制改革推進会議のほうでやられておることで、もちろん進めていただいたら結構なんですけれども、これは対象にしているのがかなり大きな企業というふうに、企業の事務コストの削減と聞いておりますので、私の申し上げた県民や市や町の担当者にとってという部分とはちょっと似て非なるところがあるのかなというところは御留意いただければと思います。
     また、内部統制制度の導入にあわせて点検いただけるということですので、ありがたいと思いますので、ぜひともしっかりそのときに点検をいただきますようにお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
     では、大きな6番に入ります。水道法改正と県の役割についてと置かせていただきました。
     今回の水道法改正によって、一定、県の役割ができたと聞いています。この項目では、県の認識を伺いたいと思います。
     県内各地でそれぞれ事情が違うのだとしても、しかしながらどこに住んでいたとしても、水というものは誰もが使う等しく受けるべきサービスです。命にかかわる根本的、基本的な問題です。
     そこでお伺いします。今回の改正の根本には、市や町の水道事業が今後経営的に厳しくなるという見通しがあるように思います。県としての現状認識と今後の取組についてお聞かせください。よろしくお願いします。

  • 環境生活部長(井戸畑真之)

    水道法の改正に対する県としての現状認識と今後の取組についてお答え申し上げます。
     今回の水道法改正により、水道施設の老朽化や今後の人口減少に伴う料金収入の減少などの課題を踏まえ、水道の基盤強化を図ることを目的に、広域連携の推進、適切な資産管理の推進及び官民連携の推進等が盛り込まれたところでございます。
     この中で、県の責務として、新たに水道基盤強化の施策の推進と広域連携の推進に努めることとされたところでございます。
     水道事業は原則、市町の独立採算で、水道料金により必要な費用を賄うことになっておりますが、県南部をはじめとする地域においては人口減少も著しく、水道料金だけで事業を行うことが困難な状況になっております。
     県としては、市町が主体的に広域連携など様々な手法を検討し、それぞれの水道事業に適した方法で基盤強化を図ることが必要であると考えております。
     このため、県では、市町を対象として水道事業の基盤強化に係る勉強会を平成28年度から開催してきております。また、東紀州と奥伊勢地域の市町からの要望に応じ、今年度は同地域を対象とした勉強会を開催したところです。
     来年度は、関係部と連携して、水道基盤強化勉強会を充実させていくとともに、事情の異なる県内全ての水道事業が持続可能となる仕組みづくりを検討するとともに、その課題を整理することを目的として、新たに有識者や地域を代表する市町による研究会を開催することとしております。
     また、市町からは毎年、国の補助金の充実や水道事業会計への繰出基準の見直し等について要望をいただいているところですが、こうした項目に加え、水道事業が持続可能となる仕組みづくりについても、国に対し、提言、要望を行っていきたいと考えております。
     以上でございます。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
     県として水道法が改正される中で役割が一定位置づけられたと。そういう中で来年度は市町との勉強会をさらに充実して、持続可能な仕組みづくりへの研究をしっかり行っていくこと、また、国へ市町などから受けた要望を伝えることでありますとか、そうした持続可能な仕組みづくりが実現するための要望も国へしていっていただけるというように聞かせていただきました。ぜひともよろしくお願いいたします。
     いずれにしても、蛇口から水が出なくて住めない地域が出てこないように、しっかりとよろしくお願いいたします。要望させていただきます。ありがとうございます。
     では、続けて大きな7番へ入ります。豊かな海再生と水質規制というふうにタイトルを置かせていただきました。
     鳥羽の漁師のおっしゃった言葉がずっと私の心の中に残っています。それは、きれいな水は要らん、豊かな水をくれというものです。まじりっけのない、不純物のない全くの真水、化学式のH2Oのようなものを海に流せばどうなるのか。海を薄めてしまうことになります。山に降った雨が様々な養分を含んで川を伝って海にまで至る。このときの水の成分、水質こそが理想なのです。このときの水は、ただの化学式のH2Oではありませんよね。これまでの排水規制、排水基準、水質規制は、今日まで重要な役割を果たしてきたと考えますが、これからの時代はもう一歩進んだ考え方が必要です。
     そこで2点お伺いします。1点目は、海に水を排出する際の理想の水質基準、成分についての基準を県として持つべきであると考えますが、御所見はいかがでしょうか。
     2点目は、国の第8次総量削減計画において、豊かな海という考え方が盛り込まれたことは評価できますが、従来型のCODという指標を達成することのみで本当に豊かな海が実現できるのか、このことを県から国へ問うていっていただきたいのですが、いかがでしょうか。
     以上2点、よろしくお願いします。

  • 環境生活部長(井戸畑真之)

     海洋における環境基準についての考え方と豊かな海の実現に向けた国への働きかけについてお答え申し上げます。
     まず1点目でございますが、環境基準は人の健康を保護し、生活環境保全する上で維持することが望ましい基準として定められたものです。海域等の公共用水域の環境基準、例えばCODであるとか窒素、リンといったものでございますが、こういった基準につきましては、それぞれの水域ごとに水産、水浴、環境保全など、利用目的に応じた類型が指定されております。例を申し上げますと、COD、化学的酸素要求量につきましては、英虞湾では最も厳しい基準である1リットル当たり2ミリグラム以下というふうになっておりますが、伊勢湾沿岸域では、より緩やかな基準でございます1リットル当たり3ないし8ミリグラム以下となっているなど、地域の実情に応じた設定となっていると考えております。
     伊勢湾においては、昭和54年に水質総量削減制度が導入され、平成29年6月には第8次水質総量削減計画を策定し、流入する汚濁負荷の計画的な削減に取り組んでいるところです。
     伊勢湾に流入する汚濁負荷量は、制度導入当初と比べますと半分程度になってきておりますが、伊勢湾におけるCODの環境基準達成率はいまだ50%にとどまっております。
     また、伊勢湾では、夏場を中心として、海底付近の海水中の酸素の量が極端に少なくなり、水産業に大きな被害をもたらす貧酸素水塊が近年も広範囲に発生していることから、引き続き、伊勢湾の水環境改善の取組を進める必要があると考えております。
     次に2点目の豊かな海の実現についてでございますが、第8次水質総量削減計画におきまして、新たに、きれいで豊かな海という観点が取り入れられました。こうしたきれいで豊かな海を実現させるためには、複合的な取組が必要とされておりまして、環境省が示しました事例集には、全国における藻場、干潟の保全、再生など様々な取組が例示されております。その中で三重県の英虞湾における干潟の保全、再生の件につきましても、取り上げられているところでございます。
     引き続き、関係部局と連携して総合的な水環境改善対策や調査、研究を進めまして、こうした取組を通じて得られた知見をもとにしながら、国への提案につきましては必要に応じて検討していきたいと考えております。
     以上でございます。

  • 村林聡

     御答弁いただきましたけれども、基本的に考え方を変えるつもりはないということですかね。引き続きということと国への働きかけについても様々な取組をした結果の知見をもとにしか検討できないと、そういうような形だと思うんですけど。
     じゃ、ちょっと再質問させていただきます。まず、農林水産部にお伺いします。ノリの色落ちの問題で、海がきれいになり過ぎたのが原因ではないか、栄養塩類、窒素、リンなどの不足が原因ではないかという話をよく聞きます。ノリの色落ちと窒素、リンの因果関係を水産研究所なりで突きとめていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

  • 農林水産部長(岡村昌和)

     ノリの色落ちと窒素、リンとの因果関係ということでございますけども、水産研究所におきまして、1980年代から海水中の窒素やリンなど栄養塩類の経年変化に関する調査を行っておりまして、また、窒素量の増減と黒ノリの色落ちの関係性につきましても、複数の条件下において比較研究を実施しております。
     この結果、海水中の窒素量の低下が黒ノリの色落ちの要因の一つであるということが明らかとなっております。
     このため、県では、黒ノリ養殖の漁期中に、収集した漁場の栄養塩類などの海況情報を養殖業者へ提供いたしまして、黒ノリの色落ちの前に収穫するなどの養殖管理に活用していただいているというところでございます。
     また、今後は、海況情報の提供とあわせまして、色落ち対策の技術研修会の開催への支援でありますとか、低栄養でも色落ちしにくいノリ品種の研究開発などに取り組みまして、本県の黒ノリの高品質化と安定生産に努めていきたいと考えております。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
     今の農林水産部からのお話ですと、窒素量の低下が黒ノリの色落ちの原因であると、因果関係が一定認められるということだったと思います。まず、こういう知見があるわけですよね。
     ということは、窒素、リン、栄養塩類が不足することが明らかに豊かな海にならないという結果だと思うんですけれども、本当に県は私の申し上げたような水質基準にある考え方を今後持ったり、あるいは国のほうへ働きかけをしていただけないのでしょうか。もう一度、再質問で御答弁お願いします。

  • 環境生活部長(井戸畑真之)

    伊勢湾の窒素の量につきまして、この10年間の平均をとりますと、リッター当たり0.37ミリグラムということで、この10年間横ばい状態ということで、決して窒素の量が減ってきているというデータはございません。先ほど農林水産部のほうから原因の一つであるという研究結果が出たということでございますが、それ以外にも例えば水温の問題であるとかプランクトンの量であるとかいろんなものが複合的な恐らく要因があると思いますので、引き続き、様々な調査研究しながら、また必要に応じて国のほうへは要望していきたいと考えております。

  • 村林聡

     御答弁いただきました。この場でなかなか決着つく議論ではないと思いますけれども、様々な今知見なんかも聞かせていただく中で、ぜひとも今後、県としても考え方を未来へ、それこそ次の世代へ、100年先どうあるべきなのかということをしっかり考えていただきたいと要望させていただきます。
     農林水産部のほうにまた要望なんですけれども、窒素、リンの関係がアコヤ貝、真珠の巻きにも影響があるんじゃないかという声なんかも私のところに寄せられておりますので、様々な水産物に対する影響、理想の水質成分なんかもできれば今後研究していっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
     では、大きな8番に入ります。農閑期・農繁期における人と仕事の多様な組み合わせと置かせていただきました。
     農業協同組合の方からお話を伺う機会がありました。農業で食べていくためには365日仕事があるようにすることが重要であると。しかし、実際は非常に忙しい時期と全く仕事のない時期ができてしまいやすい。一方で育てている作物の違いから忙しい時期は経営体ごとにずれていることもある。こうした忙しい時期、仕事のない時期の違う経営体をうまく組み合わせて、マッチング、コーディネートして365日仕事があるようにしていくことが重要で、農業協同組合のこれからの仕事の一つになるだろうというような内容のお話を伺ったのでありました。
     そこでお伺いします。農業を若者定住のための働く場として捉えたときに、非常に重要な視点であると考えますが、県として農協と連携して取り組んでいっていただけないものでしょうか。御答弁をよろしくお願いします。

  • 農林水産部長(岡村昌和)

     それでは、産地間の連携による通年的な仕事の確保ということにつきまして御答弁を申し上げます。
     農業には、作業が多く忙しい農繁期、それと作業が少ない農閑期がありまして、これまで農繁期の作業につきましては地域における短期雇用のパート従業員が担ってまいりました。
     こうした中、産地では、少ない短期雇用のパート従業員でも作業が行えるよう、収穫時期が異なる品種の導入などにより、農繁期のピークを平準化する取組などを進めてきたというところでございます。
     しかしながら、農村地域における高齢化の進展や人口の減少に加えまして、他産業との競合などで、短期雇用のパート従業員の確保が年々困難な状況となってきておりまして、農繁期における労働力の確保が産地を維持、発展させる上での課題となっております。
     こうした状況に対応いたしまして、短期雇用のパート従業員が農業に従事しやすくなるよう、労働安全衛生の確保やフレキシブルな労働時間の設定など、農業経営体における労働環境を整備していく必要があるというふうに考えております。
     このため、県では、労務管理に関する研修会の開催や従業員を安定確保するための法人化の推進、また、労働環境の整備に向けた社会保険労務士など専門家の派遣などに取り組んでいるというところでございます。
     また、若者の働く場づくりといたしまして、今後は新たに、若者などの労働力を農繁期が異なる産地問で融通し合う仕組みなどを構築するということが必要であるというふうにも考えております。
     例えば、農繁期が春から夏でありますトマトやお茶の産地と、秋から冬のかんきつ産地などが連携いたしまして、労働力を互いに融通し合うことが可能性として考えられると思っております。
     こうした仕組みを構築するためには、丁寧に産地情報を発信して人材募集を行い、経営体とのマッチングを行う必要があります。また、雇用条件に関する労使双方の合意形成を図るほか、住居や通勤手段の確保など受け入れ環境を整備していくことも重要と考えております。
     今後は、このような課題に対応していくため、JA、また市町などとも連携いたしまして検討を進めてまいりたいと考えております。
     以上でございます。

  • 村林聡

     御答弁ありがとうございました。
     産地間で融通する仕組み、トマトとお茶とかんきつというような組み合わせを一つ例として挙げて御答弁いただきました。
     また、農業協同組合などとも連携していっていただけるという御答弁でしたので、ぜひともよろしくお願いいたします。
     以前から私は半農半Xとか農林水産業全般、さらに幅広い分野との仕事の組み合わせについて提案してまいりました。幅広いというところがやはり県の仕事としては強みだと思いますので、そうしたこともさらにその先として念頭に置いていただければと思いますので、よろしくお願いします。
     大きな9番に入ります。時間がありませんので、再質問しようと思っていたことも含めてまとめてもう申し上げておきます。大きな9番、高齢者施策と老人クラブ(老人会)についてです。
     県として高齢者施策の中で老人クラブ、いわゆる老人会にどういう役割を期待して、どんな支援をしておるのかということ、それと私がもう一つ聞きたかったのは、制度ができた当初の60歳と今の60歳とでは大分違うと思うんですね。今の60歳の方は若いですよね。それが60歳以上から加入するという原則がかえって老人会への加入を妨げているんじゃないかという声を聞きます。
     例えば60歳で入ると、自分の親が80歳でいて親子で加入したりするなんていうこともできると。こうしたことで加入年齢を柔軟にするなど時代に合わせた運営について、国へ要望していったりということも必要ではないかと思うんですけれども、まとめて、すいません、御答弁よろしくお願いします。

  • 医療保健部長(福井敏人)

     老人クラブに期待する役割とそのための支援について、まずお答えさせていただきますと、老人クラブについては介護予防等の健康寿命の延伸につながる取組を積極的に行うことが期待されておりまして、地域の担い手として活躍する元気高齢者の受け皿としても重要であると思ってます。このため、県におきましては、こうした取組に対して補助金を交付して支援を行っているところでございます。
     加入年齢でありますが、これは国の補助要綱で運営要綱が定められておりまして、加入の会員の年齢は60歳以上と決められております。
     一方で、会員の加入年齢を60歳以上としつつも、特定の年齢層に重点的に加入を促進することは可能でございますので、地域の実情に応じて御検討いただければというふうに思っております。
     以上であります。

  • 村林聡

     すいません。ありがとうございました。時間ですので終結します。ありがとうございます。(拍手)

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