令和2年定例会-11月30日-29号

  • 村林聡

    では、改めまして、こんにちは。度会郡選出、自民党会派、村林聡です。早速質問に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
    まず、大きな1番として、コロナ禍における看護現場の現状と課題についてというように置かせていただきました。
    緊張が続く看護現場におけるストレスが限界に来ているという声を聞きました。冬のボーナスさえ、どれくらいもらえるものか分からない。あるいは、冬のボーナスを区切りに退職してしまうという、そんな方々も出かねない状況だそうです。
    看護師も1人の人間であるということをもっと大事に重視してほしいという悲痛な声でした。
    人間には休みも必要です。これまで、潜在看護師の活用、活躍について提言してまいりましたが、病院の経営がこのコロナ禍で苦しくなっているところもあり、病院によっては、よい人がいても雇えない状況にあるそうです。これでは、ますます休みも取れない悪循環となってしまいます。
    この冬、医療崩壊を起こさず乗り切るためには、こうした問題の解決は不可欠です。
    そこでお伺いします。
    このコロナ禍において、先の見えない緊張が続いている看護職の皆さんが、人々から敬意を持って迎えられ、処遇として報われるということをどう実現していくのか。あわせて、国が危険手当を支給すると聞いていますが、県として把握していることをお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。

  • 知事(鈴木英敬)

    2点御質問をいただいたうち、1点目の看護職の皆さんはじめ、医療従事者の皆さんに敬意を表する、それについて答弁をさせていただきたいと思います。
    県内で最初の感染患者が発生してから10か月になりますが、看護職員を含む医療従事者の方々は、自らも感染することに対する不安や恐怖を抱えながらも、新型コロナウイルス感染症対策の最前線で御尽力をいただいていることに対し、改めて、心から敬意を表するとともに感謝を申し上げたいと思います。
    そこで、医療従事者の方々へ感謝の意を届けるため、本年5月に医療従事者の活動に対する感謝と応援のメッセージを募集いたしました。
    県民の皆様からは、県民のために、三重県のために、昼夜を問わず奮闘されている皆様へ、心の底からありがとう、治療に関わっていただいた皆様、家族を持っておられるのに、責任感、勇気、愛に心から感謝しますなど、多くの心温まるメッセージをいただき、県ホームページに掲載するとともに、医療機関にも届けさせていただきました。
    また、本県独自の取組として、新型コロナウイルス感染症患者等に対して、直接、入院治療や検体採取業務などに当たった医療従事者の皆様に対して、QUOカードを配付させていただきました。
    QUOカードには、私からの感謝のメッセージを添えた上で、2897名の方に配付させていただきましたが、このうちの約半数に当たる1556名は、コロナ禍においても患者に寄り添い、献身的な看護を行う看護職員の皆様でした。
    さらに、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用し、医療機関等で勤務し、患者や利用者との接触を伴う業務に従事した方々に対し、慰労金を支給しているところであり、11月末現在で約5万名の医療従事者等の皆様に給付させていただいています。
    引き続き、給付対象者にできる限り速やかに給付されるよう、手続を進めてまいります。
    この新型コロナウイルスとの戦いが長く続く中、まだ収束も見通せない、そういう状況でありますので、先ほど委員が御指摘いただきましたように、引き続き、これからも看護職をはじめ、医療従事者の皆さんに敬意を表し、少しでも心休まる気持ちで頑張っていただけるように、我々としても最大限の努力をしてまいりたいと思います。

  • 医療保健部長(加太竜一)

    もう1点御質問いただきました国による危険手当の支給について御答弁させていただきます。
    医療従事者に対する危険手当については、国から直接支払われるものではなく、危険手当といたしまして日額4000円相当が支給されることを念頭に置きました診療報酬の引上げが行われているところでございます。
    その診療報酬の引上げによる増収分を原資といたしまして、医療機関が医療従事者の処遇改善に活用することとされているということで、県のほうでも認識しているところでございます。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。まず、知事のほうから、5月にメッセージを募集し、そこで集まった心温まるたくさんのメッセージを届けていただいた取組や、QUOカードを配付いただいて、またそこに知事のメッセージを添えていただいた取組などを御答弁いただくとともに、今後も最大限引き続き努力していくというふうに御答弁いただきました。ありがとうございます。
    そして部長のほうからは、危険手当については、診療報酬の中に日額4000円を念頭として含まれているという御答弁をいただいた、そのように認識いたしました。
    では、要望と再質問をさせていただきたいと思います。
    まず要望からですけれども、このQUOカードやメッセージカードの取組、これは前提として、本当に大変よい取組であったことは間違いありません。ありがとうございます。
    しかし、一方で、もらえた人ともらえなかった人がいたというふうに聞きます。そのことが、現場の人間関係を乱した側面があるという声もありました。
    江戸時代の芝居小屋の話が思い出されます。江戸時代の芝居小屋では、満員御礼となったときに、大入り袋が配られるんですけれども、それは、千両役者から下足番までみんな同じようにもらえたそうであります。
    このコロナ禍において、医療関係者で全く新型コロナウイルス感染症と無関係でいられる人なんているのでしょうか。
    ぜひ、今後があるのであれば、こうした和の心にも御留意いただきたい。これは要望とさせていただきますのでよろしくお願いします。
    そして再質問のほうです。
    危険手当の分だけ診療報酬が上がっているということなんですけれども、それが現場の処遇改善につながらない、つながっていないと皆さん考えておられるようなんですね。つながらないということは、病院経営の悪化が一番の原因であると考えられます。
    この冬を県民の皆さんが安心して乗り越えるためにも、そこの病院経営をきちんと支えていくように、国へしっかり要望していただきたいと考えますけれどもいかがでしょうか。再質問、よろしくお願いします。

  • 知事(鈴木英敬)

    医療機関の医業収益悪化に対する国への要望をしっかり行っていくべきということについて答弁させていただきます。
    新型コロナウイルス感染症の影響による医業収益の悪化については、様々な医療機関から、その大変厳しい現状をお聞きしているところであります。
    医療機関への支援としては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用した感染対策に係る支援金の交付や、患者の受入病床の確保費用に対する補助などを行っていますが、患者の受診控え等による収益の減少に対する支援メニューについては少ない状況にあります。
    このような状況を受け、県としても国に対して、これまでの支援の継続や、患者の受診控え等による収益の悪化に対する新たな支援メニューの創設など、医療機関の実態に即した支援を行うよう要望しているところであり、また、全国知事会においても要望を行っております。
    医療機関の経営悪化に歯止めをかけ、持続可能な医療機関の経営を確保するために、今後もあらゆる機会を捉えて、国に対し要望を行ってまいります。
    国のほうで第3次補正予算の議論がある中で、与党のほうで、実際にコロナに対応していなくても、受診控えで医業収益が悪化した医療機関に対する診療報酬引上げとかも、メニューとして議論しているということも聞いたりしておりますので、引き続き、この要望を我々もしていって、それが、そこで働いている人たちの安心に、処遇改善につながっていくように、しっかり努力していきたいと思います。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございました。
    今、知事から御答弁いただいて、受診控えに対するメニューが少ないので、今しっかり要望しているところであると。また、国のほうでも協議中であり、県としても今後もしっかりと要望していくし、そうした安全・安心が実現するために努力していただけるものとそのように理解いたしましたので、どうか引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
    では、次の項目、大きな2番へと進みます。
    大きな2番は、コロナ禍で進んだオンライン教育を小規模校に生かす取組についてというように置かせていただきました。
    コロナ禍で様々な価値観が転換しようとしていると感じています。
    例えば、これまでの東京一極集中から地域の重要性が再認識されつつあります。
    これまで、人生の価値として、どういう仕事をするのか、どういう職業につくのかということが最も重視される一方で、どこに住むのか、自らの身体をどういう空間に置くのかということが軽視されてきたように思います。
    これからの時代は、どこに住むのか、自らの身体をどういう空間に置くのかが重要な価値として見直されるものと考えています。
    こうした新しい価値を現実のものとするための手段、道具として、オンラインの充実が不可欠になっています。
    特に教育においては、休業・休校措置により必要に迫られたこともあって、オンラインの整備が劇的に進みました。こうしたオンライン教育の進展は、子どもの数が減っている地域の県立高校と都市部にある県立高校との格差を縮めるものであると考えます。
    そこでお伺いします。
    子どもの数が減っている条件不利地域にある小規模校において、その弱みをオンライン教育で補う取組についてお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。

  • 教育長(木平芳定)

    地域の小規模校でのオンライン教育の推進について御答弁申し上げます。
    少子化の進行に伴い、本県におきましても県立高等学校の小規模化が進んでいます。
    小規模校では、生徒一人ひとりに目が届きやすく、きめ細かな指導を行いやすい、あるいは地域資源を生かした体験学習に学校全体で取り組みやすいなどの面がある一方で、教職員の人数が少ないため、生徒のニーズに応じた多様な選択科目を設置しにくい、多様な考え方に触れたり、切磋琢磨する機会が少なくなりがちであるなどの面もあります。
    こうした中、県教育委員会では、平成29年3月に策定した県立高等学校活性化計画に基づき、1学年3学級以下の小規模校9校10校舎において、小規模である特性を生かし、より充実した教育を行い、生徒の進路希望の実現や入学希望者の増加を目指して、市町や地元産業界などの協力を得ながら、学校ごとに地域の特色を生かした活性化の具体的な計画を策定し、地域の学校ならではの学びを進めています。
    オンライン教育につきましては、新型コロナウイルス感染症による臨時休業時における学びを継続するため、本年5月に学校と家庭をオンラインでつなぎ、毎朝のホームルーム、授業や動画の配信、個別の進路相談などを行いました。
    学校再開後も、病気療養中の生徒への学習支援、暴風警報による臨時休業時の学習機会の確保など、オンラインを活用した取組を進めています。
    複数の学校をオンラインでつないだ遠隔授業を実施することにより、小規模校においても、より多くの科目の開設が可能となります。
    一方で、実施の際には、両校の授業の開始時間を合わせる必要があるとともに、同時に授業を受ける生徒数は原則40人以下とすること、両校に教員を配置する必要があることなどの条件が示されていることから、国に対しその緩和を要望しているところです。
    現在、南伊勢高校では、南勢校舎と度会校舎をオンラインでつないだ遠隔授業を年に5回程度ではありますが、試行的に実施しており、来年度はその取組をさらに進めていきたいと考えています。
    来年度が計画期間の最終年度となる県立高等学校活性化計画では、入学者の状況や生徒の進路実現の状況、活性化の取組など、各小規模校の活動と成果について毎年度検証するとともに、令和3年度に総括的な検証を行い、その後の在り方を検討することとしており、それに合わせて遠隔授業の取組についての効果と課題も確認していきたいと考えています。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
    現在も病気のときでありますとか、暴風警報のときなどにはオンラインを活用しておるというお話でありますとか、複数校を同時につないで授業をするに当たっては、同時に接続することや合わせて40人以下であること、あるいは両方の側に教員がおっていただかなければいけないと、そういう条件がある中で、そうした緩和を国へ要望中であるというお話も聞かせてもらいました。ぜひこれもしっかり要望していっていただきたいとお願いいたします。
    そして様々な試行モデルなんかもしてもらっておりますけれども、来年度が県立高等学校活性化計画の見直し時期で、それに当たってはこうしたオンラインの部分の課題とか、そうしたことも検証して、新たな高校活性化へつなげていくんだという御答弁だったというふうに思います。
    ぜひとも、これは要望にもちろんとどめるわけですけれども、しっかりと、このオンライン教育の可能性というものを、国へ対しても要望する中で、見極めていただいて、活用していただきたいと思います。
    私も来年度の県立高等学校活性化計画の見直しについては大変興味を持っておりますので、またぜひ議論に私も参加させていただきたいと考えております。その節にはどうぞよろしくお願いいたします。御答弁ありがとうございました。
    では、大きな3番へ入ってまいります。
    魚類養殖業を取り巻く現状と課題についてと大きく置きまして、(1)コロナ禍で影響を受けたマダイ養殖業者への支援というタイトルにいたしました。
    まず、この問題で速やかに現場に足を運んでくださり、需要の喚起など、対策を打っていただいた知事に厚く御礼申し上げ、感謝いたします。ありがとうございます。
    当時、大変問題となっておりました、売れずに大きくなり過ぎていたマダイ、いわゆる3年魚については解消されつつあります。
    主に漁連がキロ670円という赤字覚悟の値段で買い取ってくれているからです。
    あちこちで浜の声を聞いてまいりましたところ、皆さん一様に漁連に感謝しておられる一方、このキロ670円という価格は、採算ぎりぎりか、あるいは採算を割っているということでした。
    春以降もこの価格で推移するということになると、やっていけるのか不安である、春以降が課題であるというのも、大方一致した声でありました。
    これから訪れる年末、ここが一番の書き入れどきであるということで、皆さん忙しくされておりましたが、一方で、年末に向けての出荷予定計画ではだぶつきが予想されておりまして、ここでの収入がどうなるのかも大きな不安要素になっています。
    浜で聞いてきました声を私なりに大きく三つに集約しますと、以下のようになります。
    一つ目は、需要の拡大です。
    新たな販路の拡大や、三重県民の皆さんにもっと地元のマダイを食べる習慣を持ってもらう食文化の普及などです。
    そして、目の前の年末に向けて、県や知事の情報発信に期待する声もありました。
    二つ目は、三重の学校給食についての県事業です。
    養殖業に関する分だけでも約3億円あるわけですが、ここまででまだ1000万円にも届かないという実施状況だそうですね。今からでも遅くないので、どうかしっかりと実施に努めてほしいという声でありました。
    三つ目は、漁業共済です。
    東日本大震災の津波被害で受けた傷痕が癒えるか癒えないかというところで、今回のコロナ禍であります。この共済の仕組みは複雑であり、実際幾らもらえるのか、今もって誰にも分かりません。それが不安に拍車をかけています。
    こうした事故のあったときには、しっかり助かるような仕組みであってほしいという切実な声でした。
    県として国へ、漁業共済、積立ぷらすの拡充を要望してもらえないでしょうか。
    では、改めてお伺いいたします。
    私のほうから申し上げました3点、三つの項目を含めたコロナ禍で影響を受けたマダイ養殖業者への支援について、県の御所見をお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。

  • 農林水産部長(前田茂樹)

    それでは、コロナ禍で影響を受けたマダイ養殖業者の皆さんへの支援についてということで御答弁させていただきます。
    養殖マダイについては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により需要が低迷し、夏以降は外食等における需要回復の動きも見られておったところでございますが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、在庫の滞留や販売価格の低下が再び懸念されるなど、マダイ養殖業者の皆さんからも今後の経営への不安に係る切実なお声をお聞きしておるところでございます。
    県では、収入安定に向けた取組といたしまして、本年3月に、国に対してマダイ養殖業者の収入安定対策の充実や、資金繰り支援について緊急要望を行いまして、その結果、魚価の下落等による減収を補填する積立ぷらすの支払いの増加に備えた基金の積み増しや、漁業者による積立ての猶予等の特例措置が実現しますとともに、漁業経営維持安定資金や近代化資金の無利子化、あるいは保証料の無償化が図られたところでございます。
    また、養殖マダイ等の消費拡大に係る取組としましては、県内量販店や大手通販会社等と連携した販売促進活動のほか、学校給食への食材提供、大手コンビニチェーンでの新商品開発など、様々な関係者と連携した取組を行ってきました。
    学校給食への提供につきましては、9月上旬から提供を開始し、12市12町において養殖マダイ約13トンなどが使用される予定でございます。
    しかしながら、予算額に対して5割程度の利用にとどまっておりますことから、さらなる活用に向けて学校給食として安心で使いやすいメニューの提案など、個別に市町への働きかけを強化していきたいと考えております。
    さらに年末年始の消費拡大に向けまして、12月から県内量販店と連携して、旬の県産食材の消費喚起キャンペーンやテレビCMやSNS等を活用した食材の魅力を伝える様々なプロモーションを実施する「みえの旬が一番」食べてお得なキャンペーン事業を展開し、多くの県民の皆さんに旬の県産食材を食べていただくことで、生産者を応援し、養殖マダイ等の消費拡大につなげていくこととしております。
    今後も養殖業者の皆さんが将来にわたって事業を継続していけるよう、積立ぷらすに係る予算の十分な確保や、養殖業者の皆さんがより安心できる制度への拡充について国に対して提言をしてまいります。
    また、市町や関係団体等としっかり連携しながら、今回新たに開拓した販路を生かした取組を幅広く展開するなど、養殖マダイの持続的な県内需要の拡大を図ってまいります。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございました。
    そうした浜の不安の声は聞いておるということで、収入安定対策の充実を国へ既に要望していただいて、一定実現していただいた部分があると。そしてさらに、これからも国へ提言していっていただくとそういう御答弁がまずありました。ありがとうございます。 そして、消費の拡大に引き続き取り組むし、今後もプロモーションやキャンペーンを展開する中で、様々な情報発信にも努めていただけるということであります。
    そして、学校給食の部分でありますが、私が聞いていた話よりは大分進んでいるという御答弁だったかと思います。
    予算の5割程度が今後実施予定であるという御答弁だったと思います。ぜひとも、例えば市や町ごとに残りを割り振るとか、もうあんまり日数もありませんから、そうした少し大胆かもしれませんけれども、実施に向けた新たな工夫をお願いしたいと要望いたします。どうかよろしくお願いいたします。
    では、大きな3番の(2)のほうへ移ります。
    魚類養殖業の構造改革についてという題名にいたしました。
    魚類養殖業は、コロナ禍が起きる前から厳しい構造的環境にありました。コロナ禍があろうとなかろうとやるべきことはありましたが、これからの時代は、さらにコロナ禍を踏まえた上でということにもなります。
    ここでも、浜で聞いてきた声を私なりに4点に集約して申し上げます。
    一つ目は、価格決定権の問題です。
    これは、ほかの農林水産物全てに当てはまる話かもしれませんが、常に市場価格が上がらないという悩みや不安を抱えています。もう少し生産現場に主導権を戻さないと持続が不可能です。
    二つ目は、餌代の高騰、値上がりです。
    餌は、ペルー産のイワシに頼っており、ペルーの漁獲枠内で中国などと取り合いをしている構図になっています。
    さらに、昨年の暮れからそのイワシが不漁にもなっております。国産でイワシ以外の原料を考えるときに来ています。
    三つ目は、高水温への対応です。
    今年の夏は30度という異常に高い水温を記録して、それも水深7メートル、8メートルまでずっと30度で、魚の逃げ場所がない状態だったそうです。
    こうした高水温そのもので死んでしまうことに加えて、高水温が続くと魚は病気に弱くなってしまうそうです。
    新しい取組を行うときには、これからはこの高水温についても念頭に置くべきです。
    4点目は、経営体力をどうつけるのかです。
    三重県の養殖業者は、他県に比べて小規模なところが多くなっています。さきに述べた3点の課題を解決していくためにも、経営体力は必要であり、まさにここをどうしていくのかは大きな課題であります。
    では、改めてお伺いいたします。
    私がここまで申し上げたことも踏まえて、魚類養殖業の構造改革をどう進めていくのか、御所見をお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。

  • 農林水産部長(前田茂樹)

    魚類養殖業の生産性の向上や経営力の強化に向けた県の取組ということで御答弁させていただきます。
    本年度策定した水産業及び漁村の振興に関する基本計画では、もうかる水産業に向けた取組を幅広く展開し、養殖業を含む海面漁業の産出額を増加させていくことを目標としています。
    目標を達成していくためには、水産資源の維持・増大や担い手の確保・育成のほか、漁業産出額の増加部分の大半を占め、今後も成長の余地が十分にある養殖業、特に魚類養殖業の競争力強化を図ることが大変重要であるというふうに考えてございます。
    県では、これまで魚類養殖業の体質強化を図るため、AI、ICTを活用した小規模経営体が導入可能な完全自動給餌システムの開発や、伊勢マダイなどのブランド化による付加価値向上、複数の経営体が連携し、需要に応じて計画的に出荷できる生産体制の構築に取り組んできたところです。
    一方、県内の魚類養殖業は、経営規模が小さい個人経営体が多く、生産コスト面で不利な上、高齢化や担い手不足が深刻化している状況にございます。
    さらに、新型コロナウイルス感染症の影響による消費の停滞により、養殖マダイに依存した経営の脆弱性が露呈するなど、魚類養殖業の抜本的な構造改革が求められています。
    このような状況を踏まえ、令和3年度からは、魚類養殖業の生産性の向上や経営力の強化に向けて経営の安定化、脆弱性の改善に向けた経営基盤強化のための取組、法人化の促進などに取り組んでいきたいと考えております。
    具体的には、経営安定の取組としては、酒かすや動物性たんぱくを利用した安価な代替飼料の開発による生産コストの削減。また、高水温への対応として、ワクチン2回接種等による新たなマハタ養殖技術の確立。経営基盤強化のための取組としては、タブレットで飼育尾数等を管理できるシステムの開発。さらに、短期間で出荷でき、中食、内食需要の高いトラウトサーモン養殖技術の確立。それから、法人化の促進の取組といたしましては、モデル地区における法人化に必要となる経営面でのノウハウのマニュアル化とその普及などの取組を想定しておるところでございます。
    今後は、市町や生産者等と連携し、生産性の向上や法人化など経営力の強化による構造改革を進め、本県魚類養殖業の競争力強化を図ることで、もうかる水産業の実現につなげてまいります。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
    令和3年度に様々取り組む内容についても御答弁いただいたというふうに聞かせていただきました。
    まさに今、私が質問させていただいた内容と方向性自体は全く同じであるというふうに聞かせていただき、理解いたしました。大いに期待し、まず賛同するということを申し上げたいと思います。
    その前提の上で、幾つか意見を申し上げておきたいと思います。
    まず、新しい餌の研究に踏み出していただくと、酒かすなどを利用して、コストを下げるんだというお話をいただきました。これは非常に画期的なお話ではないかと思います。個人的には大いに賛成ですし、ぜひともやるべきであると考えます。
    しかし、新しい、こういうことを踏み出すときには、浜には恐らく不安の声なんかも出てくると思いますので、丁寧に説明いただいて、しっかり意見交換をした上で進めていただきたいと要望いたします。
    そして、新しい魚種を導入していくことで、これまでマダイ一辺倒だった魚類養殖業を構造的に改革していこうというお話もありました。
    私が浜で聞いてきた中では、なかなかマダイに代わる魚種というのは難しいんだという声が大半ではありましたが、私の感じたことを幾つか申し上げます。
    まず、新しい魚種を導入するということであれば、高水温の視点というのは必要になってくると思います。これから大量へい死の危険度なんかを分散させていこうということで新しい魚種を導入するのであれば、高水温に対する強さというのはよく考えていただきたいというのが一つ。
    そしてもう一つが、価格決定権の部分をよく考えていただきたいということです。まとまった量を市場に出すということが非常に競争力をつけていくときに大事になるんですけれども、一方で、つくり過ぎることによる値崩れというのも非常に恐れるところで、このあたりは市場戦略というのが必要になってくると思います。
    ひょっとすると雇用経済部なんかの分野になってくるかもしれないんですけれども、そのあたりもよくしっかりとお考えいただきたいと思います。そういう意味では、隙間戦略、いわゆるニッチを狙うとか、一律に同じ話をするのではなくて、業者ごとに合う魚種というのがひょっとすると違うのかもしれないという、いわゆるオーダーメード的な発想、視点というのも今後要るのかもしれないなというのを浜でお話を聞いていて感じたところであります。
    そして、次の点ですけれども、経営体力をどうつけるのか。ここは相当重要な課題で、かなり本質の部分だと思うんですけれども、手段と目的を取り違えないようにぜひお願いしたいところであります。
    例えば先ほど御答弁のあった、AIとかICTを導入していくというようなお話がありましたけれども、AIやICTの導入には投資が要るわけですけれども、それをなぜするのかといえばやっぱり経営体力をつけるためにするのであって、その手段と目的がごっちゃになってしまうと、AIやICTを導入することが目的になってしまうと本末転倒になりますので、お願いしたいと思います。
    例えば、もうかる農林水産業という言葉がありますけれども、これはもうかるのは、私はふだんから申し上げておりますように、手段ですよね。目的は持続可能で、後継者ができて、再生産できるというほうが目的であると私は考えておりますので、そうした行政の皆さんが文言としてつけたときに、よくその辺を注意していただきたいというように申し上げ、改めて御検討いただくように要望いたします。どうかよろしくお願いいたします。
    そして、この項目の最後に、浜で聞かせていただいた声の中から要望、提起をさせていただきたいと思います。
    発生が予測されております、危惧されております南海トラフ大地震、大津波への対応です。
    こうした大災害が起きたときには、せめて、ゼロから再出発できるような仕組みであってほしい。マイナスからのスタートではとても立ち直れないだろう。安心して再挑戦できるんだと思える仕組みをつくって見せないと、若者は参入できないし、定着もできませんと、このことを共通して何人もの方から伺いました。
    難しい課題であるとは承知しておりますが、本日、提起させていただいて、今後一緒に議論したいと考えておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
    では、時間も少なくなってまいりましたが、大きな4番へ移りたいと思います。
    大きな4番は、プランクトンの視点を踏まえた豊かな海の再生というように題名を置きました。
    鳥羽の離島で、きれいな水は要らん、豊かな水をくれという漁師の声を聞いて以来、様々な提言をしてきましたし、県も、昨年度改定した三重県環境基本計画において、きれいなだけではない豊かな海の実現に大きく一歩を踏み出してくださいました。高く評価しますとともに深く感謝申し上げます。ありがとうございます。
    ところで、昨年来、アコヤガイの大量へい死が続いており、大変胸を痛めております。
    農林水産部の調査の結果、その原因は大きく二つであると公表されました。
    一つは高水温の問題、もう一つが餌となるプランクトンの極端な不足です。
    今回、こうしてプランクトンの不足が原因であると分かった以上、解決に向けてさらに歩みを進めるべきであります。
    そこでお伺いします。
    豊かな海を実現するため、従来の水質基準の視点だけではなく、プランクトンの視点を持つべきであると提起いたしますが、御所見はいかがでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。

  • 環境生活部長(岡村順子)

    植物プランクトンの視点を踏まえた豊かな海の再生への取組についてお答えいたします。
    伊勢湾におきましては、昭和54年に水質総量削減制度が導入されておりまして、平成29年6月には第8次水質総量削減計画を策定し、流入する汚濁負荷の削減のほか、新たにきれいで豊かな海という観点を取り入れて、総合的な水環境の改善に取り組んでいるところでございます。
    河川のBOD、生物化学的酸素要求量の環境基準達成率は90%以上に改善し、伊勢湾に流入する汚濁負荷量は制度導入当初と比べまして半分程度にまで減少しております。
    こうした汚濁負荷量の総量削減は一定程度進んでいるものの、夏場を中心として、海底付近の海水中の酸素の量が極端に少なくなる貧酸素水塊が近年広範囲に発生するなど、生物生息環境は改善されておらず、引き続き、伊勢湾の水環境と生物生息環境改善の取組を総合的に進める必要がございます。
    きれいで豊かな海の再生に向けては、県の環境生活部と農林水産部が連携しまして、四日市大学と伊勢湾再生連携研究事業を実施しております。
    具体的には、貧酸素水塊の原因や生物生産に適正な栄養塩類の濃度に関する研究に取り組む中で、水質面だけでなく、植物プランクトンを含む生物生産の観点を踏まえた調査研究を行っているところでございます。
    また、国土交通省と3県1市等で構成されます伊勢湾再生推進会議にも積極的に参画し、知見の収集をはじめ、沿岸域の関係者との分野横断的な連携も実施しているところでございます。
    環境省では、伊勢湾を含む閉鎖性海域の第9次水質総量削減計画策定に向け、本年度より検討が開始されています。
    県としましても、この計画がきれいで豊かな海の観点を取り入れた総合的な計画になるよう、環境生活部、農林水産部、県土整備部の3部連携による取組を開始するとともに、環境省に対しましても、総量削減ではなく、総量管理の視点が必要であるということを申し入れたところでございます。
    今後、国の方針を踏まえ、第9次伊勢湾水質総量削減計画策定に向けて検討することにしております。
    引き続き、水質改善と生物生産性向上に関する各種調査・研究を進め、知見の蓄積を図り、その成果を基に、きれいで豊かな海の観点を取り入れ、関係部と連携した総合的な水環境改善を進めてまいります。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。 私の想像以上に進めていただいておるのかなということで、大変驚くとともに期待もするところです。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
    それで、今の御答弁をもう一度整理しますと、伊勢湾再生連携研究事業というものを行っていただいて、植物プランクトンを含む視点、そういった視点も含めて研究いただいておると。豊かな海という観点を取り入れるべく3部で連携する中で、次の第9次水質総量削減計画をそういう豊かな海の観点になるように国へいろいろ言っていくと、要望していただけるということですね。
    また、国に対して、栄養塩類をこれまでは削減一辺倒だった話から、総量をしっかり管理していこうという視点へ転換するべきだということを提言いただいておるという御答弁だったと思います。大変ありがたい御答弁だと思います。
    これまでもこの議場で、伊勢湾内のクロノリの色落ちの問題でありますとか、あるいはコウナゴ、イカナゴの不漁の問題を取り上げられた議員も見えたわけですけれども、11月16日の読売新聞オンラインの記事で、大阪湾の透明度が上がれば上がるほど漁獲量が減少、プランクトンが減り過ぎて餌不足という記事がありました。
    その中では、イカナゴなどの漁獲量の減少の一つの要因として、プランクトンの減り過ぎがあるということが述べられておったりもいたします。
    今のような伊勢湾内の課題についても共通するところがあると思うわけなんですけれども、今おっしゃっていただいたような取組が、そうした伊勢湾内の課題の解決につながっていくということを大変期待もいたしますし、どうかよろしくお願いしたいと思うところであります。
    要望なんですけれども、3点申し上げたいと思います。
    一つ目が、今、主におっしゃっていただいたのは伊勢湾内の取組でありますけれども、ぜひとも三重県の伊勢湾の外、外湾へも、今後取組を広げていただきたいということが一つ。
    二つ目が、豊かな海実現のためには河川の在り方が重要なので、県土整備部との連携をより深めていただきたいというのが二つ目です。これは西場議員がいつもおっしゃっておる宮川の流量回復なんかにも関わってくる問題かもしれません。
    大きな三つ目ですけれども、将来的には、ぜひプランクトンの指標を持っていただきたいということであります。
    そして、定期的に調査、モニタリングをして、その結果を評価・分析して次の施策や事業に反映していくという循環的な計画管理、いわゆるPDCAですけれども、そうしたものを、PDCAを回していくということも、プランクトンを指標と思って、今後、将来的には取り組んでいただきたい。要望をさせていただきたいと思います。どうぞ、ぜひともよろしくお願いいたします。
    では、次の項目へ移りたいと思います。
    大きな5番になりますが、市町の地方創生に対する県の支援についてというように題名を置きました。
    三重県内には29の市や町があります。その29ある市や町の人口が積み上がったその上に三重県の人口というものがあるわけです。つまり、県のやろうとしている地方創生のかなりの部分を市や町の計画や努力が担っているというわけです。
    ですから、県が成功するためには、それぞれの市や町が成功するように支援をしていくということが重要になってきます。
    言い換えれば、県が計画を立て、それを実施して、またその評価をした上で次の計画へ反映していくという循環的な計画管理、いわゆるPDCAサイクルのかなりの部分を市や町が担っているということでもあります。
    では、お伺いいたします。
    県として、各市や町の人口動態と各市や町ごとにつくっているまち・ひと・しごと創生総合戦略や人口などの計画について分析した上で、それらの達成のための支援を行うべきと考えますが、御所見はいかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。

  • 戦略企画部長(福永和伸)

    それでは、市町の地方創生に対する支援を行っていくべきではないかということについて御答弁させていただきます。
    まち・ひと・しごと創生法では、各都道府県は、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略を勘案して、その実情に応じた総合戦略を策定し、また市町村は、都道府県の総合戦略を勘案し、自らの総合戦略を定めることとされています。
    さらに、国のガイドラインでは、人口の将来展望を作成するに当たりまして、都道府県と市町村で、将来展望の考え方、自然増減や社会増減の推計方法等について十分に意見交換を行うことが望ましいとされています。
    このことから本県では、市町と県との勉強会を開催するなどしまして、必要な情報を共有し、意見交換を行っているところでございます。
    このように、県、市町が策定した総合戦略に基づきまして、双方の地方創生の施策の相乗効果を高めるためには、県と市町が施策の方向性を共有し連携して取り組んでいくことが重要であり、県として、市町の総合戦略における目標設定や対策、目標の達成状況等を把握していくことが必要であると考えております。
    このため、市町と県との勉強会につきましては、総合戦略の策定・見直し時だけでなく、毎年度開催し、地方創生に関する研修や意見交換を実施しているところでございます。
    昨年度は、本県の人口の将来展望と総合戦略の見直しの時期でありましたので、この勉強会はもとより、県と市町の地域づくり連携・協働協議会などの場におきましても、県の人口の将来展望の時点修正や、第2期総合戦略の策定に係る情報を共有するとともに、市町の総合戦略の策定状況等について聞き取りを行ったところでございます。
    今後とも、広域自治体である県としまして、地方創生を県内全域において実りある形で実現するため、市町との勉強会や聞き取りなどを通じまして、各市町の地方創生に係る目標や、その達成状況等をしっかり把握していきたいと考えております。
    また、これらの情報を庁内の若者県内定着緊急対策会議などの場を活用しまして、関係部局と共有しながら必要な施策について議論し、市町と連携した取組を進められるよう努めてまいります。

  • 村林聡

    御答弁いただきました。
    市町も県も互いの計画を勘案し合って、人口の推計方法も共有するべきだと、それが望ましいと。その中で様々な目標などを連携して目標達成に向けて進んでいくことで相乗効果をというようなお話であったかと思います。
    ちょっと、少し弱いなと思ったので再質問させてほしいんですけど、県の持っているリソース、財源であったり、人的資源を各事業部局が予算化、事業化をするときに、各市や町を支援する視点が必要であるということをこの質問で提起させていただいたつもりなのでありますけれども、今の御答弁ですと、若者を定着させるための会議の中で、各部局と情報などを共有して、市町との連携を今後より図っていくんだという答弁だったと思うんですけれども、先ほど申し上げたような予算化、事業化とか、県としてのPDCAサイクルを回していくという中で、もう少し戦略企画部に司令塔としての役割があっていいんじゃないかと、そうした役割を求めたいと思うんですけれども、そのあたりの御所見があればお願いしたいんですけれども。

  • 戦略企画部長(福永和伸)

    この件に関しましては、これまでも市町からの要望事項とか、そういうニーズは各部局のほうでしっかり聞き取っておりますし、そういった中で各市町との関係の中で予算要望とかもしてまいっておりますので、地方創生との関係、これまでも全くなかったわけではありません。
    ですので、今の議員の御指摘も踏まえまして、今後、庁内の会議等の中で地方創生に関してより一層市町との関係を強化できるように呼びかけてまいりたいというふうに考えております。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
    現状としてはそういう答弁にならざるを得ないのかもしれませんけれども、市町との要望・ニーズは各部局が把握しておるということであれば、そうした要望・ニーズを戦略企画部のほうでもう一度束ね直して、戦略企画という名前なんですから、きちんと戦略を持って、各市や町の人口をどうするんだという目標を達成できるように、県としての主体性をぜひとも発揮していただきたいと、そういう要望をさせていただきたいと思います。
    この質問のそもそもは、県として様々な人口に対する指標や目標を持っておるわけですけれども、それがきちんと積算といいますか、各市町からの積み上げが反映されていないのではないのかという発想からこの質問は始まって、意見交換もさせてもらう中でこの質問をつくっていったんです。
    今のお話だと、もう少しそのあたりもしっかり考えていただきたいですし、私の最初の発想だと、県としての主体性というのが今度は少な過ぎるということも意見交換の中で分かってきておりまして、そういう意味では、県としての主体性をしっかりと発揮する中で、先ほど御答弁いただいたような相乗効果が発揮できるような仕組み、体制というのをつくっていただかないと、このままでは、特に三重県の南のほうの自治体は、最低ラインというように持っておるような人口目標が達成できずに消滅せざるを得ないのではないかというような危機感を持っておりますので、もうこれは一刻の猶予もないと思いますので、どうかしっかりとそうした体制をつくり上げていただきたいと、まず要望いたします。
    もう一つ要望したいんですけど、県としての主体性という部分で考えますと、例えば県内外に様々な成功事例というのがあると思うんです。
    こうした成功事例というのは、ある地域で成功しても、そのままほかの地域へ当てはめることはできないんですね。そういう意味では、きちんと県が主体的に、ほかの地域で応用できるところまで分析をした上で、各市や町とそうした成功事例を共有すると、そういうようなことも必要だと思います。そうしたことにも今後しっかり取り組んでいただきたいと要望しておきたいと思います。どうかよろしくお願いします。
    では、最後、大きな6番、行政のカタカナ言葉を日本語にという題名を置かせていただきました。
    行政の作る資料、県がつくって公表する各種計画などに外来の片仮名言葉やアルファベットの横文字が含まれていることがよくあります。
    少なくとも、県民に知ってもらいたい、読んでもらいたいというものについては日本語で書くべきです。
    例えば、県議会に示す資料というのも県民に示しているというわけですから、同じく片仮名言葉より日本語を優先すべきです。
    先日読んだ本なんですけど、『超訳ブッダの言葉』という本を読んでいましたところ、ちょうどよい一節がありましたので、引用して御紹介します。
    マニアックな単語なんかにこだわらないで話す。中略。
    このビジネスモデルにおけるソリューションは、あなたのモチベーションをシステマチックかつエレガントにキャッチアップします。
    こんなビジネス方言でまくし立てられたなら、ビジネスオタク以外は、はあとなる。
    カーヤーにエッカーガタを向けサンマサンカッパでサティしなさい。
    こんな仏教方言を言われても、仏教オタク以外は、はあとなる。
    地方方言なんかにこだわらず、人に合わせて柔軟に話すのが麗しい。中部経典、無諍分別経。『超訳ブッダの言葉』小池龍之介著、以上、引用終わり。
    大体からして、この議場にいるような皆さんは、行政オタクであり、行政方言をついつい使ってしまうのではないかなということです、私も含めて。
    ですから、そこでお伺いしたいんですけれども、行政が県民へ向けて発行、発表する資料について、日本語にその概念のあるものについては、片仮名言葉ではなく、日本語を使うようにきちんと取り決めるべきと提起いたしますが、御所見はいかがでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。

  • 戦略企画部長(福永和伸)

    それでは、片仮名言葉や横文字ではなく日本語で分かりやすく発信するべきではということについて御答弁させていただきます。
    計画の策定や情報提供を行うに当たりまして、県民の皆さんにとって分かりやすい用語や表現を用いることは、最も基本的な留意点であると理解しております。
    一方で、変化のスピードが激しい時代におきまして、その潮流を捉えた新しいキーワードや社会への浸透を図るべき考え方を適時適切に県民の皆さんに提示していくことも、行政の重要な役割であると認識しています。
    例えば、国際社会全体の共通目標であるSDGsをはじめ、SNS、LGBT、ワーケーション、イクボスなどの言葉が例示として挙げられますが、県民の皆さんとの協創により、県政を推進していくに当たっては、こうした新しいワードや考え方を県民の皆さんに広く理解していただくことが大切であると考えております。
    現在、本県では、職員が分かりやすい情報提供を日頃から意識できるよう、ユニバーサルデザインの視点に立った分かりやすい情報提供のためのガイドラインや、広聴広報ハンドブックを策定しています。
    そして、それらに基づきまして情報発信を行う際には、行政特有の難しい言い回しを避けたり、外来語は、情報を受ける方の年齢層など諸条件に合わせ、必要に応じて日本語に言い換えたりするなど、県民の皆さんの理解や共感が得られるよう、庁内で周知を図っております。
    また、みえ県民力ビジョン・第三次行動計画をはじめとする計画においても、県民の皆さんになじみのない新しい用語には脚注を設けたり、片仮名や横文字と日本語を併記したり、参考資料として用語解説一覧を添付するなどの工夫を行っています。
    今後とも、いただいた御指摘を真摯に受け止めまして、ガイドライン等の庁内への周知を改めて行うとともに、これは報道で使われた表現が目安になると思いますけれども、分かりやすい文章表現を用いた計画の策定や情報発信に努めてまいりたいと考えております。

  • 村林聡

    御答弁ありがとうございます。
    一応ガイドラインがあるということですので、それをきっちり周知してそのガイドラインに沿っていただきたいということを強く要望します。
    そして、先ほどSDGsの例がありましたけれども、例えば持続可能な開発目標というような日本語を併記するなどの工夫がぜひとも必要ですので、御答弁いただいたとおり戦略企画部で周知をして、各部で取り組めるようにしっかりお願いしたいと思います。 時間が参りましたので終結します。ありがとうございました。

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