令和元年定例会-06月06日-04号
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村林聡
こんにちは。度会郡選出、自民党会派の村林聡です。自民党会派を代表して質問させていただきます。よろしくお願いします。
まず大きな1番目の項目としまして、地域からの人口流出に立ち向かうというように置かせていただきました。この地域からの人口流出という言葉を使わせてもらいましたのは、先日の知事提案説明の中にあった言葉だったからです。これまでどちらかというと、三重県内に定着してもらうというような三重県一本一くくりというような表現が多かったんですけれども、県内ではなく、地域からの、というように置いていただいたことに私は大きな意味を感じて使わせていただきました。ありがとうございます。よろしくお願いします。
では、(1)仕事創出のあり方と次期行動計画という項目に入ります。
これまで私は若者が地域に残ることができないのは仕事がないからだ、仕事をつくってほしい、働く場こそが一番の課題であると訴えまして、質問をし、この議会で取り組んでまいりました。しかし、この選挙を通じていろいろな方々のお話をお伺いする中で何か違うなと、これだけではないなと感じることが多々ありました。
といいますのは、これまで仕事がないと言われてきた三重県の南部地域でも人手不足が起きているということです。ということは、仕事が何もないから、食べていけないから若者が出ていくというわけでもないことを意味しています。例えば、有効求人倍率が現在1.73倍だというのを、この間の議案聴取会でも説明を受けたところですけれども、例えば仮にですけれども、1700個の仕事があって、それに対して1000人の職を求める方々がおったとして、じゃ、ばちっと1000人が就職して1000人がその地域に定住できているのかというと多分そうなってないんじゃないのかなという感触があるわけです。似たようなお話を石田議員が前にされておられて、同じ倍率でもどれぐらいの仕事が絶対数として出ておるのかなというような話をされておられたのを、私の中のイメージで南部地域に当てはめると、こういう感じかなと思ったんですけれども、こういうようなことには、かなり根本的な価値観、職業観の問題が含まれていると考えます。
そこでお伺いします。先日の知事提案説明において、みえ県民力ビジョン・第三次行動計画(仮称)を策定し、三重県まち・ひと・しごと創生総合戦略の次期戦略としても位置づけ、一体的に取り組んでいくということでありましたが、仕事の創出に加えて価値観、職業観の問題があるということを次期計画に盛り込んでいただけるのか御所見をお聞かせください。御答弁をよろしくお願いします。
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鈴木英敬知事
人口の社会減に関連して、次期の行動計画や、三重県まち・ひと・しごと創生総合戦略との関係について答弁したいと思います。
人口の社会減対策については、未来を紡ぐ私たちが今まさに取り組まなければならない課題として、現行の三重県まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、学ぶ、働く、暮らすの三つのライフシーンごとに、施策横断的に取り組んでまいりました。
しかしながら、転出超過数が2年続けて4000人を超えるなど、厳しい状況が続いており、特に、その多くを占める15歳から29歳の若者の進学、就職に伴う転出超過に歯どめをかけていくことが、社会減対策として重要であると認識しています。
これまで、有識者や若者の声を聴取し、その方策を検討してきましたが、検討を重ねる中で、今の若者は、大学・短大の進学先を決める際、専攻したい学問分野を重視していること、就職を決める際は、やりがいや働きやすさ、給料を重視するとともに、教職員のほか、保護者の意見を参考にしていること、また、地域への愛着が高いほど、将来的に地域に住みたい、戻りたい意向が高いこと、そのほか、都会への憧れを感じていることなどが見えてきています。
こうしたことを踏まえ、本年度は三重県経営方針(案)の注力する柱の一つに、若者の県内定着につなげるために、を掲げ、働く場づくり、ひとづくり、きっかけづくりの三つの観点から、若者の県内定着に向けた取組を強力に進めていくこととしています。
例えば、働く場づくりでは、若者が魅力を感じる働きやすい農林水産業の実現に向けて、ICT等の活用によるスマート化を促進するとともに、若者、子育て世代にとって魅力ある働く場づくりや、地域が求める産業人材の育成を総合的に進めていきます。
ひとづくりでは、高校生が住民や職業人とかかわりながら、地域の課題について考えるキャリア教育や、小・中学生が地域に古くから伝わる技術や伝統を体験する郷土教育に取り組むなど、地域への愛着心と誇りを育んでいきます。
また、きっかけづくりでは、U・Iターン就職を加速させるため、Webを活用した県内企業のインターンシップ情報の発信等に取り組むとともに、就職先を選択するに当たり、影響力が強い保護者への働きかけを行うなど、学生への情報発信の多様化を図っていきます。
さらに、中長期的な視点からは、働く場づくりとして、人工知能やIoT、自動運転技術といった新たな技術革新を活用し、イノベーションを生み出す地域産業の振興や、時間や距離の制約を克服した多様な働き方の実現、ひとづくりとして、県内高等教育機関のより一層の魅力向上や学びの選択肢の拡大、郷土愛や地域へのアイデンティティーの醸成、きっかけづくりとして、移住、定住につながる県外在住の若者とのつながりの構築などを課題として捉えていますので、次期の三重県まち・ひと・しごと創生総合戦略の検討に生かしていきたいと考えております。
若者の転出入の要因については、さきに触れました、若者個人の意識のほかに、就業環境や社会的な背景など、様々な要素が関連しており、解決には、個々の課題への対症療法ではなく、一体となって切れ目のない取組を実行していくことが必要です。このため、次期総合戦略を策定するに当たっては、多岐の分野にわたる個々の取組を有機的かつ効果的に結びつけ、相乗効果が発揮されるよう、同じく最終年度を迎え、策定を進めている、みえ県民力ビジョン・第三次行動計画(仮称)との一体化を図っていきます。
本県が他県との差別化を図りながら、自立的かつ持続的に発展していくためには、次代を担う若者の力が必要です。
若者が地域の核となり、柔軟な発想で、新たな価値を創出し、それが地域の活性化につながるよう、引き続き、若者の県内定着をはじめ、社会減対策について施策を総動員し、危機感を持って取り組んでいきます。
そういう価値観みたいなことが大事だということを戦略に盛り込めないかという議員の御提案ですが、価値観を何か押しつけるというのは難しいものの、地域とのかかわり、またその地域の中で活躍することを将来選んでいってもらうような職業観を育んでいくというようなことについては、それだけで若者の定着を図れるということではないと思いますけれども、大事な視点だと思っておりますので、教育分野のことなのか、高等教育機関のことなのか、どういう取組にどういうふうに盛り込むかはこれから検討したいと思いますが、大事な視点としてしっかり持っておきたいと思います。
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村林聡
御答弁ありがとうございます。私がただいま提案させていただいた価値観や職業観の問題について、大事な視点であり、しっかり持っていきたいというふうに答えていただきました。感謝申し上げます。どうぞよろしくお願いします。
価値観を押しつけるのは難しいというお話も同時にあったんですけれども、私も価値観を押しつけるつもりはないんですが、一方で、地元で活躍するよりも東京や大都市の一流企業で活躍するとか世界で活躍するということと序列があって、そっちのほうが上だというような、価値観のほうがむしろ強く押しつけられておるようなところがあると思うので、負けずに両方の選択肢を平等に見れるような価値観を醸成していただけるような取組をぜひともよろしくお願いします。
そして、かなり多岐にわたって丁寧に答弁していただきましたキャリア教育や郷土教育、インターンシップなど地元のよさをしっかりと伝えていただくこととか、本人だけではなく保護者への働きかけも今後はしていただけるとか、時間や距離を克服した働く場、まさに最新の技術を利用してということだろうと思うんですけれども、こうしたことにも言及いただきました。ぜひとも、大変期待できる御答弁だったと思いますので、どうか今後ともよろしくお願いいたしますと要望いたしまして、次の(2)の項目へ移りたいと思います。ありがとうございます。
続いて同じ大きな1番の地域からの人口流出に立ち向かうの中の(2)として、県内定着に向けた職業観を育むキャリア教育と置かせていただきました。
この質問は一つ目の質問と大もとでつながっていると考えています。底のほう、底流には同じ意識、価値観の問題があると思うのです。今も少し申し上げましたけれども、偏差値の高い大学へ行って、一流企業に就職して、そこでデスクワーク、オフィスワークをするのが例えば一番よい、ほかの地域で活躍するというようなのはそれより下というような、ともするとこういう序列的な価値観を保護者も含めてついつい持ってしまっておるのではないかという、そういう心配なんです。
本来、職業に上下とか貴賤とかそういうものはなくて、社会の中での役割の違いでしかないはずなんですね。ですから、そういう、知事も持っていただけるというような価値観をしっかりと持っていっていただきたいと思っておるわけなんですけれども、そこでお伺いします。
県内定着に向けた職業観を育むキャリア教育について、これまでどのように取り組み、今後どのように進めていくおつもりか、国の高校普通科の見直しの動きも踏まえてお聞かせください。御答弁よろしくお願いいたします。
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教育長(廣田恵子)
県内定着に向けた職業観を育むキャリア教育について、これまでどのように取り組んできたか、今後どのように取り組んでいくかという点についての御質問でございます。
県教育委員会では、子どもたちに、社会に参画しようとする意欲や望ましい勤労観、職業観を育み、将来、社会的、職業的に自立できる力を身につけられるよう、キャリア教育を推進しているところです。また、キャリア教育を進めるに当たっては、地域産業の魅力や地域の特色を理解した上で、自らの進路を選択できるようにすることも重要であると考えております。
そのため、平成26年3月に作成した三重県版高等学校キャリア教育モデルプログラムに基づき、各高等学校で、地域や子どもたちの実態に応じた全体計画を策定し、組織的、系統的にキャリア教育に取り組んでいるところです。
例えば、就職希望者の多い高等学校では、生徒の地元企業への理解を深めるために、複数の企業を学校に招いて人事担当者等から直接話を聞く、合同進路説明会や地元企業と連携した商品開発などを行っています。
進学希望者の多い高等学校においても、地元の大学や行政機関等と連携し、生徒が地域の活性化方策などについて考え、市民や市長などに提案する取組を行っている学校もあります。
このような取組を進めた結果、三重にも魅力的な仕事があることがわかかった、県外の大学に進学しても、将来は三重県で活躍したいとの感想を持った生徒がいるなど、生徒の職業観や地域理解、地域への参画意欲の醸成につなげることができていると考えております。
また、県立高等学校活性化計画に基づき、地域と一体となった活性化に取り組んでいる南伊勢高等学校南勢校舎では、生徒が、南伊勢町の特産品の仕入れ交渉から、パッケージデザイン、販売までを体験するなどのソーシャル・ビジネス・プロジェクトに取り組んでいます。
今年度は、このような取組を発展させて、県内9校10校舎を実践パイロット校として指定し、高校生が地域の課題や特色ある産業を題材に、地域の方々や職業人等とかかわりながら、自分たちに何ができるのかを主体的に考えて行動する、地域課題解決型キャリア教育を進めています。
地域課題の解決等を通じて体験と実践を伴った探究的な学びを重視するこうした取組は、現在、国で議論をされている、高等学校普通科の新しいあり方の一つと合致するものと考えています。
今後も、子どもたちが地域への愛着や誇りを高め、将来にわたる志を持てるよう、キャリア教育を推進していきたいと考えております。
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村林聡
御答弁ありがとうございます。
今の御答弁の中では地域課題解決型、そして探求的な学びというのがキーワードで、国の方向とも合致していると。この志を持てるような方向で学んでいってもらうというのはすばらしいことだと思います。どうぞよろしくお願いします。
本当の意味での想像力を個々人が発揮できるような、できるものを引き出すというような取組をぜひともしていただきたいと思います。生徒をふるい分けて、できないレッテルを張っていくというような、そういう教育はやめてほしいと思います。
また、就職ばかりではなく、ベンチャーであるとか、業を起こすというような発想や力が今後、地域には必要とされているようにも感じています。地域に残って活躍できる職業観、あるいはたとえ県外などへ出たとしても、地元とつながっているという世界観、こうしたものをぜひとも育んでいただけるように大事に取り組んでいっていただきたいと要望いたします。
どうぞよろしくお願いします。
大きな1番を閉じさせていただきまして、大きな2番の防災対策についての項目へ移ります。
(1)指定緊急避難場所の点検というふうに置かせていただきました。 いわゆる一次避難場所と言われているものについての質問です。
津波対策として東日本大震災以来、例えばこれまで10メートルの高台へ避難するというところだったところを、20メートルに見直すなど、そういった取組は一定進んできているということで、大変ありがたく思ってはおるんです。
しかし、そこの高台まで行く避難経路が手すりもないような急な坂道で、お年寄りにはとても上れないというような声を聞きました。また、避難した先の高台の多くがただの野原なんです。暑さとか寒さとか雨とか風とかちょっと防げるような場所じゃないんですね。そして、多くの場合は草が生えとるわけです。頑張って取り組んでおるところは、出合いで草刈りをしてくださっておるわけですが、草を刈れば当然鹿は来ますよね。鹿が来ればマダニがおる。そこに避難するということは、マダニに刺されて命にかかわる病気にかかるというようなことで、津波が引くまで半日とか1日とか、そうした野原に避難して本当に大丈夫なのかと、お年寄りが体調を崩さないか、災害関連死なんていう言葉もありますけれども、そうした心配があるのではないかというふうに感じてしまうわけです。
ちなみに、私は海のそばに住んでいるんですけれども、最寄りの20メートルの高台に避難訓練で行ったときにマダニに食われました。具体的に言いますと、20メートルの高台に向けて、出合いで頑張って階段をつくって、ロープを張って手すり、手で伝えるようにしたりしたんですけれども、今やなかなかそこへ訓練でも行くということ自体がちょっと危ないというようなことになっておるというような状態もございます。
そこでお伺いします。今後、発生が危惧されている南海トラフや雨の多い出水期へ向けて、市や町とともに指定緊急避難場所の点検、見直し、確認をするべきと考えますが、御所見はいかがでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。
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防災対策部長(日沖正人)
指定緊急避難場所について、その点検や見直しが必要ではないかということに対しての御答弁を申し上げます。
指定緊急避難場所は、災害対策基本法に基づき、災害から命を守るために緊急的に避難する場所や施設として、洪水、崖崩れ、土石流、地すべり、地震、津波など異常な現象の種類ごとに、管理条件、立地条件、構造要件など政令で定める基準に適合しているかを踏まえ、市町が指定をしております。
県内では平成31年4月現在で3704カ所が指定されており、市町が指定緊急避難場所を指定したときには、都道府県に通知するとともに公示することとされております。
指定制度が平成26年4月1日に施行されて4年以上が経過したことから、平成31年1月24日付で、国から指定緊急避難場所について、収容人数や安全性、管理の状況などの適切性について適時の見直しを行うよう通知があり、各市町に見直しを依頼しているところであります。
指定緊急避難場所においては、例えば、地域で実施する避難訓練の結果や土砂災害警戒区域の指定状況などを踏まえ、市町だけでなく、地域住民と一緒になって点検を行い、必要に応じて見直しを検討していただきたいと考えております。
県内においても、自主防災組織が指定緊急避難場所の定期的な点検を行っている地域もあることから、県としては、このような先進事例を紹介するなど水平展開を図ることや、県の防災技術指導員が、各市町や自治会等からの依頼に応じて、防災訓練の際などに指定緊急避難場所や避難所への経路の危険個所を確認するなどの指導、助言も行っているところであります。
今後とも市町と連携して、指定緊急避難場所の見直しや点検に向けた取組を行っていきたいと考えております。
以上でございます。 -
村林聡
はい、御答弁ありがとうございます。
今の御答弁によりますと、国のほうで災害の種類ごとに政令で基準が定められていて、市町が指定してということですね。現在、見直しの通知が国から来ていて、市町へその見直しの要請をしているところだと。県の防災技術指導員なんかとともに、市や町と連携しながら見直しを進めようと考えてくださっておると、そういう御答弁だったと思います。どうかよろしくお願いしたいと思います。
ただ、今、申し上げたように、どこかではややハード的な、コンクリートを張るとか何らか雨風をしのぐような多分、自助努力というか、共助というか、出合いとか自主防災だけでは済まない部分も、点検した結果ですけれども、どこかでは、出てくるのではないかと思いますので、そういうときには、ぜひ市や町と御相談いただいて、国のほうへ要望するとか、何らかの知恵を一緒に出していただけると大変ありがたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
続きまして、(2)応急仮設住宅の考え方という項目に入ります。
この項目については、早速聞かせていただきます。まず、御答弁をいただきたいと思います。県として応急仮設住宅の必要戸数をどれだけと見積もっておられるのか、そしてその準備はどれだけ整ってきているのか、充足数をお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。
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防災対策部長(日沖正人)
応急仮設住宅の必要個数の考え方と確保に向けた取組の状況ということで、答弁をさせていただきます。
災害時には、被災者の一時的な生活の安定を図る上で、住まいの確保が重要な課題となっております。この対策として、県では、市町からの要望に速やかに対応するため、公営住宅や民間賃貸住宅を活用する借上型の応急仮設住宅の提供に加え、市町が確保する用地に建設型の応急仮設住宅を建設する体制を整備する必要があると考えています。
この対策のうち、南海トラフ地震による被害に対応する建設型の応急仮設住宅の必要戸数については、県が平成26年3月に公表しました地震被害想定調査に基づき算定をしております。
その算定に当たりましては、地震の規模を過去に起こった最大クラスのものと想定した上で、市町別に地震、津波による倒壊、流出、焼失による家屋の全壊、半壊を推計して被災世帯数を算出をしまして、その数値に発災後1カ月から2年の間における居住先の意向を尋ねるアンケートでの仮設住宅への入居を希望する世帯の割合を乗じて算定をしております。
この想定によりますと、必要となる建設型応急仮設住宅は、1万3725世帯となりまして、確保に向けた取組を推進しているところであります。
速やかに建設型の仮設住宅を供与するために、県内市町に対し、建設候補地の確保を求めておりまして、毎年度、住宅建設候補地の状況を集計しております。平成30年12月末現在で県内543カ所、約329万平米の用地が確保されており、約3万2900戸の建設が可能となっています。
また、市町担当者会議を毎年開催しまして、昨年度は平成30年7月豪雨や東日本大震災における建設型応急仮設住宅の供与事例について情報提供をしております。さらに、一般社団法人プレハブ建築協会や一般社団法人全国木造建設事業協会などと協定を締結し、発災時に必要となる応急仮設住宅の円滑な建設に向けて取組を進めているところであります。
県としましては、東日本大震災以降、過去最大クラスの被害想定に基づき、まずは建設型応急仮設住宅の必要戸数の確保に取り組んできたところです。
また、民間賃貸住宅を活用した借上型の応急仮設住宅の確保に向けても、公益社団法人三重県宅地建物取引業協会や、公益社団法人全日本不動産協会三重県本部などと協定を締結しており、借上型応急仮設住宅の想定空き戸数を考慮すると、必要となる戸数の一定数を確保できているものと考えております。
ちなみに、数字的なものを申し上げますと、過去最大で応急仮設住宅、建設型、借上型を合わせて約2万3000戸が必要となっておるという想定ですけれども、建設型が先ほど申し上げました3万2900戸、それから借上型が、これにつきましては平成30年の住宅土地統計調査結果に基づきますと、県内の賃貸用空き戸数、その時点で約4万3000戸ということで、合わせますと7万5000戸余りで、一定数が確保できているものと考えております。
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村林聡
はい、御答弁いただきました。
事前に意見交換したときには、この借上型の部分を含めた数ということはちょっと話に出てなかったと思うんですけれども、1年半前の私、総括質疑で指摘した部分があるんですけれども、そこの部分について今、聞かせてもらうと、残念ながら変わっていないと思うんです。
それはどの部分かと言いますと、先ほどアンケート調査を実施して、その場に再建を希望しているという回答をした方を必要戸数から除外しているということですよね。事前の意見交換でもそう伺っていますし、今の御答弁でもそうだったと思うんです。発災後、1カ月から2年の間の意向調査をしたということでありますけれども、当然、発災後から2年の間に職人さんは不足するでしょうし、資材も不足しますよね。たとえ、その場で再建を希望していたとしても、その方々が再建できるまで相当数の時間がかかるはずであります。ですから、再建を希望している方をそのまま応急仮設住宅の必要戸数から差し引いてしまうと、ちょっと計算がおかしい、合わないと思うんです。
例えば、事前にいただいた資料によると、私の住んでおる南伊勢町では、過去最大クラスの津波が来たという場合の必要な戸数が677戸で足りるということになっています。恐らく南伊勢町に住んでいる人がこの話を聞いたらびっくりすると思うんですね。1万2000人からいるところで、20メートルからの津波が来てかなり浸水するはずなのに677戸で足りると。
なので、ちょっと積算の部分が少しおかしいように感じますので、ここはもう一度、1年半前にも申し上げましたけれども、見直すように強く要望させていただきたいと思います。
全体としてこの防災対策について感じたのは、被災者の視点がちょっと足りないんじゃないのかなというふうに感じた部分がありますので、もう一度、一つ一つ被災者の視点で見直す必要があると指摘しますので、どうかよろしくお願いいたします。
では、大きな2番の防災対策についてを閉じさせていただきまして、大きな3番、道路冠水対策についての質問に入ります。
知事提案説明に、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に的確に対応し、道路冠水対策などを進めるとしてもらってあります。気候変動により豪雨が増えています。それによる冠水が発生していて、今後も増えるだろうと予測できます。度会町では、人が亡くなるという事例が起きてしまいました。知事は先ほど午前中の議論でも触れていただいておりましたけれども、そういう残念な事例が起きてしまいました。
そこでお伺いします。道路冠水対策の現状と今後の取組についてお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。
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県土整備部長(渡辺克己)
県管理道路の冠水対策につきまして、現状と今後の取組についてお答えをいたします。
道路の冠水対策は、ゲリラ豪雨等による一時的な冠水や集中豪雨に伴う河川の水位上昇により発生する内水の氾濫など、様々な原因によって発生しています。
県管理道路の冠水対策としましては、県ホームページによる冠水危険箇所の周知や現地への看板設置による注意喚起等、ソフト対策を中心に実施をしております。
また、冠水の危険性の高いアンダーパス部は、定期的にポンプ設備等の点検を実施するとともに、台風等による豪雨が予想される際には、道路パトロールによる巡視や施設の事前確認等を行っています。
さらに、道路の冠水が発生し、通行が困難となった場合には、通行どめの措置として、バリケード等での封鎖を行うほか、ホームページ等により通行どめ情報を提供しておるところでございます。
ハード対策としましては、冠水被害の軽減を図るため、防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策を活用し、排水機能の向上や注意喚起を図るため、アンダーパス部においては、排水ポンプや道路情報板の設置や既存施設も含めた停電対策を実施しておるところでございます。アンダーパス部以外では排水用側溝の改修等を実施しております。
道路の冠水は、その発生要因を踏まえ、ソフト対策とハード対策の両面で対応する必要があると考えております。
さらに、道路事業だけでなく、河川事業や内水対策事業等を含めた面的な視点での検討も必要と考えておるところでございます。
しかし、抜本的な対策には時間を要するため、今後も、冠水被害の軽減に向けて、現地の排水機能の向上を図るとともに、冠水危険箇所のさらなる把握と注意喚起に努めていきたいと考えております。
また、冠水発生時におきましては、速やかな通行どめ措置に加え、ホームページやカーナビ情報等により、道路利用者への情報提供を実施してまいります。
以上です。 -
村林聡
御答弁ありがとうございます。ソフト面、ハード面両方から対策を進めていただくという、そういう御答弁だったと思います。
ただし、ハード面については抜本的に対策するには時間がかかるのだというお話でありました。
しかし、市や町によっては代替のきかない幹線道路、いわば命の道を県道が担っているところもあるでしょう。そこが大雨のたびに寸断されるようでは、強靱な国土とは言えないわけです。よくそういうような市や町とも相談して、道路冠水を計画的に解消していただきますよう、よろしくお願いします。知事の提案説明にもあるとおり、国土強靱化の3か年計画の中で、ぜひとも少しでも進めていただきますよう、よろしくお願いします。要望といたします。ありがとうございます。
では、続けて大きな4番へ入ります。ラジオ放送の受信障害地域への対応についてというように置かせていただきました。
最低限、NHKのAMラジオについては全国あまねく、県内あまねく受信できるべきだと考えています。農林水産業の作業中に聞きたいという声も私のもとには寄せられておりますし、何より災害時には乾電池で動くラジオが最後のとりで、最後の情報源となるということが間違いないと思うんですね。スマホでは、やはりバッテリーが持ちませんので。
10年前に私はこの問題を取り上げまして質問したときには、AM放送の設備を新たに設置するとすると、国際的な調整が必要で難しいということでした。AMの電波は外国、海外までも飛ぶのだそうです。
しかし、平成26年からは国がワイドFM、FM補完放送を進めてきております。
そこでお伺いします。国はワイドFM、FM補完放送による受信障害対策を進める方向と見受けられますが、ラジオの受信障害地域に対して、県はどのような対応が可能かお聞かせください。よろしくお願いいたします。
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地域連携部長(大西宏弥)
それでは、ラジオの受信障害地域に対して県としてどのような対応が可能かということにお答えをさせていただきたいと思います。
議員からも御紹介がございましたが、ワイドFM、FM補完放送は、AM放送局の放送エリアにおける受信障害を解消するために、山や建物等の障害物に強く、また音がクリアなFM放送の周波数を利用して、AM放送の番組を放送するものです。近県でもNHKラジオなど放送事業者がこの技術により、受信障害の解消を図っているところでございます。
このように、受信障害の対策につきましては、放送事業者が担っており、ワイドFMの活用などにより、受信環境の改善を行っています。また、こうしたラジオの受信障害対策などの放送政策につきましては、総務省が一元的に所管しているところでございます。
県といたしましては、住民の皆さんなどからAMラジオ放送の受信が困難であると、そういう御意見をいただきました場合には、地元の市町に対して情報提供していくとともに、総務省東海総合通信局に対しまして、地域の状況を伝えてまいりたいと思っています。
また、放送事業者に対して市町が受信環境の改善に向けた要望を行う際には、東海総合通信局から市町に適切な助言がなされるよう、県としても働きかけを行い、地域の声が届くよう努めてまいりたいと、そのように考えております。
以上でございます。
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村林聡
御答弁ありがとうございます。国、総務省と市や町の間に入って汗をかいていただけると、そういう御答弁だったと理解いたします。どうかよろしくお願いします。
また、情報提供もしていただけるということでしたので、ぜひ全国的に見たときのうまくいった事例についても、情報提供をお願いしたいと思います。
私が聞いたのは、高山の放送が入らなくて困っている奥飛騨で、FM補完放送をすることができたという事例があるそうです。ぜひともよろしくお願いいたします。
それでは、大きな5番、豊かな海再生へ向けての項目へ入りたいと思います。
(1)環境行政の積極的役割についてと置かせていただきました。
きれいで豊かな海ということで、きれいなだけではなく豊かな海でなければならないということを国や、そして県としても打ち出していただいていることはありがたく感謝しております。評価しております。環境生活部が規制部局であるということは理解していますが、豊かな海は規制だけでは実現できません。
そこでお伺いします。環境生活部には、規制だけでなく豊かな海実現のためには何が必要なのか、理想の環境とはどういうものなのかお示しいただきたいと考えますが、御所見はいかがでしょうか。御答弁よろしくお願いいたします。
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環境生活部長(井戸畑真之)
豊かな海の実現に向けての取組につきまして答弁させていただきます。
伊勢湾におきましては、昭和54年に水質総量削減制度が導入され、平成29年6月には、第8次水質総量削減計画を策定し、流入する汚濁負荷の削減のほか、新たに、きれいで豊かな海という観点を取り入れ、総合的な水環境対策に取り組んでいるところでございます。
伊勢湾に流入する汚濁負荷量につきましては、制度導入当初に比べますと半分程度となっております。河川のBOD、生物化学的酸素要求量の環境基準達成率は90%以上まで改善しております。その一方で、COD、化学的酸素要求量の環境基準達成率はいまだ40%から60%で推移しております。また、夏場を中心として、海底付近の海水中の酸素の量が極端に少なくなる貧酸素水塊が近年も広範囲に発生しております。
このことから、引き続き、伊勢湾の水環境改善の取組を進める必要があると考えているところでございます。
この貧酸素水塊は、大量に発生した植物プランクトンなどの死骸が海底に堆積、分解されることにより、海底の溶存酸素量が極端に低くなることで、生態系や漁業に大きな被害をもたらしています。
国土交通省と東海3県1市等で構成しております伊勢湾再生推進会議の報告書などによりますと、貧酸素水塊の解消には、この植物プランクトンを捕食するマイワシや二枚貝類等の復活、そしてこうした生物の生息場となる藻場、干潟の保全、再生、創出が有効であるというふうにされております。
伊勢湾や五ヶ所湾等海域環境の目標としては、COD、窒素等の環境基準の達成状況が重要な指標になりますが、豊かな海の再生に向けましては、生物多様性の確保が必要であると考えております。貧酸素水塊の発生により生物が生息しにくい環境になっているなどの問題にも着目していく必要があると考えております。
今後は引き続き、陸域からの汚濁負荷量を適正管理していきますが、それだけではなく各種調査、研究を進め、幅広く知見の蓄積を図るとともに、必要に応じて、この生物多様性の確保に資する新たな指標を設けることなどを国に働きかけるほか、藻場、干潟の保全、再生など関係部と連携した総合的な水環境改善対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
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村林聡
御答弁ありがとうございます。想像していたよりも踏み込んだ御答弁をいただきました。ありがとうございます。
まず、窒素、リンとかの問題もありますけれども、豊かな海ということならば、生物多様性の確保こそが重要であるという認識をお示しいただきました。そして、そのためには藻場、干潟が重要なんだという、藻場、干潟の重要性についておっしゃっていただきました。また、幅広く科学的知見を蓄積することが重要であるというデータの重要性についても触れていただきました。
そして、さらにもう一歩踏み込んだ部分として、私が以前から理想の水質について内部の数値でよいから目標を持ってほしいということを申し上げておったんですけれども、豊かな海のための新たな指標を持つように国へ働きかけるというようにおっしゃっていただきました。ぜひとも県のほうでも検討いただきたいと要望させていただきますが、かなり踏み込んだ御答弁いただきましたこと、感謝申し上げます。
ちなみに今朝、鳥羽市選出の野村議員から情報を提供していただきました。何でも兵庫県は県として窒素濃度に下限を設けたそうです。濃度が低くなり過ぎることにストップをかけるという、全国初の基準を設けたそうであります。こうした事例も研究していただきたいと要望させていただきます。いずれにしましても、踏み込んだ御答弁いただきましたので、感謝申し上げ、ぜひとも今後とも引き続き議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
では、続きまして(2)漁場環境変化への対応についての項目に入ります。今のところの環境生活部との議論をもとに、農林水産部に3点お伺いしたいと思います。
一つ目はノリ、黒ノリの対策についてです。色落ちなどで伊勢湾内は大変厳しい状況にあると聞いていますので、研究開発をお願いしたいのですけれども、現状はどのような様子でしょうかというものです。
二つ目は藻場、干潟についてです。先ほどの議論でもその重要性が確認されましたが、補正予算後の藻場、干潟再生にかかる予算は十分に確保できる見通しなのでしょうかというものです。
そして、三つ目は海域のデータ収集についてです。先ほどの議論でも科学的見地の集積の重要性が確認されましたけれども、海で何か異変が起きたときに何が原因かわかるように、ふだんからデータ収集をしっかりと行っていただきたいのですが、いかがでしょうかというものです。
以上、3点について御答弁をよろしくお願いいたします。
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農林水産部長(前田茂樹)
それでは、漁場環境変化への対応について順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、ノリの色落ちの関係でございますけども、ノリの色落ちの発生につきましては、海水中の窒素量の低下というのが関係していることが、これまでの研究結果から確認をされておるところでございます。
また、養殖漁場におきましては、窒素などの栄養塩を吸収する植物プランクトンの発生が、窒素量の低下要因の一つであるというふうに考えられています。
このため、県水産研究所では、漁場に発生した植物プランクトンを捕食し、栄養塩を海水中に排出する二枚貝の養殖等を組み合わせた、ノリ色落ち対策技術の開発に取り組みますとともに、今年度からは、窒素やリンが少ない環境下でも、色調や生育に優れた新たなノリ品種の開発に着手しておるところでございます。
次に、藻場、干潟でございますが、藻場、干潟は、水質浄化機能や多くの生物の産卵、育成場といった生物多様性の維持機能など、漁場環境の維持、再生に重要な役割を担っております。
このため、県では、鳥羽・志摩海域や熊野灘海域でのアラメ、カジメなどの海藻が生えるためのコンクリート製ブロックの設置でありますとか、伊勢湾海域でのアサリなどの育成場となる干潟の造成を進めておるところでございまして、今年度予算として、6月補正も含め、前年度並みのおよそ5億8000万円を計上しているところです。
さらに、海域での水質データの収集でございますが、こちらにつきましては、漁場環境の現状や変動状況を把握いたしますとともに、適正な養殖管理などを行う上で大変重要であると考えてございます。
このことから、現在、県水産研究所が、調査船あさまによる伊勢湾、熊野灘での定点観測や、英虞湾での定期的な観測により、水温や塩分、酸素量等のデータを収集し、ホームページ等で公表をしているところでございます。
そのほか、五ヶ所湾をはじめとする他の沿岸域におきましても、市町や漁協等と連携しながら水質観測を実施しています。
また、今年度からICTを活用した真珠養殖技術の開発に向け、英虞湾内に自動観測ブイを設置し、リアルタイムで水温等の測定とインターネット上での情報提供を行い、データを収集し、さらに活用を図ることといたしております。
今後も引き続き、新たなノリ品種の開発など色落ち対策に有効なノリ養殖技術の開発、水質浄化機能や生物多様性の維持などに重要な藻場、干潟の再生を進めますとともに、科学的知見からの対策の検討に必要となります海域でのデータ収集を進めることで、漁場環境の変化への対応に適切に取り組んでまいります。
以上でございます。 -
村林聡
御答弁ありがとうございます。
ノリの品種の開発は進めていただけるということですし、ただ藻場、干潟については前年度並みの予算ということで、過去10年で公共事業最大規模というお話を聞いておる中では寂しいのかなと。ぜひとも今後とも予算確保の御努力をいただきたいと要望します。
そして、データ収集ですけれども、五ヶ所湾でも収集いただいておるというお話ではありましたが、実は私のもとに五ヶ所湾で何かおかしいことが起きているという声が多数寄せられております。真珠、アオサ、ヒジキなどどれも悪いと。真珠については英虞湾と同じ貝を使っているのに五ヶ所湾だけ巻きが悪く一人負けになっているとか、こういう何かがおかしいんだけれども何かわからないという声があるので、ぜひとも収集したデータの提供でありますとか、しっかり取り組んでいただきたいと要望いたします。
また、環境生活部、農林水産部両方へ要望いたしますけれども、大雨の後の濁り水ですね。これは災害という認識をぜひとも持っていただきたいと要望します。江戸時代は、こうした濁りも災害と認識されていたと聞いたことがあります。土砂だから、化学物質ではないからと見過ごしていいものではありません。真珠やアオサに悪い影響があると漁師さんが語ってくれましたし、極端な例を言えば養殖している魚のえらに泥が詰まって大量へい死してしまったようなことも起きると聞いております。ぜひとも御検討いただきたいと要望いたします。
続きまして、大きな6番へ入ります。漁業者の円滑な事業継承についてということで置かせていただきました。漁業者の高齢化が大変進んでいます。70歳になろうとも80歳になろうとも元気で漁業を営んでほしいと願っていますが、永遠というわけにはいきません。漁業を廃業するときに、船や網を処分する費用というのは高くて大きな負担なのだと聞いています。農林水産部は、これから農業や漁業を新しく始めようとする方々に、廃業される方の農具や漁具を一式引き継いでもらうという居抜きの事業に取り組むつもりであると説明をされておられました。
そこでお伺いします。今後の取組である農業者、漁業者の施設や設備をそのまま利用する居抜きの物件をあっせんする体制づくりが円滑な事業継承となり、廃業時の負担軽減につながることを期待しますが、御所見はいかがでしょうか。よろしくお願いします。
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農林水産部長(前田茂樹)
それでは、漁業者の高齢化等に伴います円滑な事業継承に向けた取組について御答弁をさせていただきます。
高齢化等によりまして、漁業者の皆さんが廃業を余儀なくされる際に不要となる漁船や漁具、養殖施設などの処分が負担となるケースが見受けられます。
一方で、新規に漁業を始める場合や、漁業者が規模拡大をする際には、漁船や漁具、養殖施設の購入などに係る費用負担が大きな課題となってまいります。
県では、こうした漁船や漁具、養殖施設などの経営資源を必要とする漁業者にマッチングする、いわゆる居抜きの仕組みづくりを進めていく必要があると考えておるところでございます。
このため、今年度から水産業経営資源移譲円滑化事業に取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、具体的には、廃業した、あるいは廃業しようとしている漁業者の皆さんの漁船や漁具、養殖施設といった経営資源を居抜き物件として捉え、漁協等を通じて移譲可能な物件の実態を調査、把握することとしております。
また、こうした物件を円滑に移譲していくために、漁協等において、廃業しようとする漁業者の皆さんや物件を必要とする漁業者の皆さんからの相談やマッチングを行う窓口を開設するなど、居抜きの仕組みの構築を進めてまいります。
今後は、構築した居抜きの仕組みを着実に運用するとともに、その効果を検証し、現場の実情に応じた円滑な事業継承につなげていきたいと考えております。
以上でございます。 -
村林聡
御答弁ありがとうございます。
この居抜きの事業だけで全て解決するというわけでは当然ないだろうと思うんですけれども、今、御答弁いただいた中では、マッチングのデータベースをつくると。実態を調査、把握して、そしたら前提情報を県が持つということですので、それが恐らくこれからの後継者問題でありますとか、そういうことは非常に大きな意味を持ってくるのかなと期待いたしますので、どうぞよろしくお願いします。御答弁ありがとうございました。
では、最後の大きな7番の項目へ入ります。看護師確保対策についてというように置かせていただきました。
地域からの人口流出に立ち向かい、いつまでも住める地域を実現するためには医療の充実は欠かすことができません。依然として、この三重県において看護師が不足しているということに異論はないはずです。中長期的には若い人たちに看護師を目指してもらえる、看護師を志してもらえる環境づくりが重要でありましょう。
一方で、短期的には資格を持ちながら、医療の現場を離れてしまっている、いわゆる潜在看護師の復職支援が重要です。
こうした復職支援などの事業をより効果的にするためにも、退職時にできるだけ届出、登録をしてもらうことが必要です。
そこでお伺いします。若い人たちに看護師を目指してもらえる環境づくりや退職時の届出制度の徹底など、県として看護師確保対策に今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。
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医療保健部長(福井敏人)
看護師確保対策についてお答えをいたします。
本県では、看護師確保対策監を設置するなど、確保対策に取り組んできたところでございまして、就業看護師数につきましては、平成26年の1万4910人から平成28年には1万6259人と1349人増加しており、年々増加傾向にございます。
しかしながら、人口10万人当たりの看護師数につきましては、全国平均を下回っておりまして、全国順位も34位であることなど、依然として喫緊の課題となっております。
このため、本県では、人材確保対策、定着促進対策、資質向上対策などの対策を体系的に整理をいたしまして、総合的に取り組んでおるところであります。
まず、人材確保対策につきましては、看護師等修学資金貸与制度の活用や看護師等養成所の運営支援などの取組により、看護学生の県内就業の促進を図っております。
その結果、平成30年度における県内の看護師等養成校卒業生の県内就業率は、77.7%と前年度を2.9ポイント上回り、過去5年間では最高となっております。
こうした状況を一層加速させ、また次世代の人材育成を図るため、高校生を対象とした1日看護体験を実施いたしますとともに、今年度からは新たに中学生や高校生等を対象とした、みえ地域医療メディカルスクールを開催いたしまして、看護の魅力を伝えることといたしております。
あわせまして、潜在看護師の復職支援の取組を進めるため、三重県ナースセンターにおきまして、無料職業紹介事業を行っております。
平成27年10月からは、離職時の届出が努力義務となったことから、登録を促進するため、平成27年12月に、四日市サテライトを設置をいたしまして、離職者の復職に向けた相談体制の強化を図りました結果、就職者数は年々増加傾向にございます。
離職時の届出は、本人だけでなく、医療機関における代行登録も可能でありますことから、県内医療機関に対しまして届出制度のさらなる周知を図っていきたいと考えております。
次に、定着促進対策につきましては、看護職員が子育てと仕事の両立ができるよう、病院内保育所の運営に係る補助を行いますとともに、医療機関に対する相談支援やアドバイザー派遣に取り組んでおります。
加えまして、三重県医療勤務環境改善支援センターにおいて、医療機関に対する相談支援を行いますとともに、女性が働きやすい医療機関認証制度によりまして、勤務環境改善の取組を支援しております。
こうした取組により、本県の看護職員の離職率は、例えば新人看護職員においては4.4%となるなど、全国平均の7.5%より低い水準となっております。
さらに資質向上対策につきましては、がんや認知症などの専門領域における高い臨床能力を備えた看護職員やプライマリー・ケアエキスパートナースの養成を行っておりまして、南伊勢病院の看護師の3名の方々も昨年度、第1回の認証を取得いただいたところでございます。
今後も、これらの取組を進めますとともに、三重県看護職員確保対策検討会におきまして検証を行い、一層の充実に取り組んでまいります。
以上であります。 -
村林聡
御答弁ありがとうございます。様々な取組をしていただいておるということがわかりました。
しかし、今のいただいた御答弁の中で一番恐らく肝になるだろうというのが退職時の届出の部分で、医療機関による代行届出も可能であると感じました。ここが恐らく最も重要なところで、ここの周知徹底をしっかりしていただいて、届出の比率をしっかりと上げていただくことがナースセンターで様々な復職支援をしていただいておる事業をさらに効果的にすることだと思いますので、ここをしっかりと取り組んでいただきたい、そのようにお願いいたします。
今、次の質問の(2)看護師が働きやすい環境づくりの部分も、少し踏み込んで定着の部分も御答弁いただいたようには感じたんですけれども、(2)として置かせていただいておりますので改めて申し上げますと、先ほどの御答弁の中で離職率は4.4%と、かなり以前に比べると低くすることができたという御答弁でありましたけれども、ぜひとも定着や離職防止のためには勤務環境の改善を今後とも行っていただきたいと思うわけです。
そこでお伺いします。県では、平成27年から女性が働きやすい医療機関認証制度を実施しているわけですが、看護師が働きやすい環境づくりに向けて今後どのように取り組んでいくのかをお聞かせください。重複があれば簡単で結構です。
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医療保健部長(福井敏人)
女性が働きやすい医療機関認証制度についてお答えをいたします。
本県では、女性の医療従事者が働きやすい環境づくりを進めるために、平成27年度に全国で初めて、県による公的な認証制度であります、女性が働きやすい医療機関認証制度を創設いたしました。
認証医療機関は、設立発足の初年度は、五つの医療機関でありましたが、取組を進めました結果、昨年度までに、15の医療機関に拡大をしております。
認証制度の周知につきましては、三重県医療勤務環境改善支援センターが開催するセミナーにおきまして、認証制度の説明を行いますとともに、県内医療機関にパンフレットを配布するなどの啓発も行っております。
さらに、今年度は、県医師会と共同で県内医療機関を対象とした説明会を行い周知を図っていくことといたしております。
今後も、三重県医療勤務環境改善支援センターと連携をいたしまして、認証医療機関の拡大を図っていきたいと考えております。
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村林聡
御答弁ありがとうございます。ぜひとも今後、規模の小さい医療機関への拡大も、難しいとは思いますが、お願いしたいと思います。
そして、その三重県医療勤務環境改善支援センターで、そういう認証の仕組みを持ってやっていただいておるということなんですけれども、事前の意見交換で聞くところによりますと、経営者や管理者、人事担当者向けの取組がこれまで多かったということですので、これからはぜひとも現場を巻き込んで展開していっていただきたいと、現場を巻き込んで展開していくことが鍵となるのではないかと感じます。ぜひとも規模の小さい医療機関に広げるためにも、現場と一体となって進めてほしいと要望させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後の項目の(3)特別支援学校の看護職員についてというように置きました。三重県においては、医療的ケアが必要な生徒のために、看護資格を持つ方々に特別支援学校の職員として働いていただいております。医師がいない中で、というのが病院勤務との大きな違いであり、現場の看護職員にとって、責任を重く感じる仕事であると聞いております。
そこでお伺いします。特別支援学校の看護職員について、県として行っている取組や看護資格を持つ貴重な人材としての処遇も含めた現在の状況についてお聞かせください。御答弁をよろしくお願いいたします。
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教育長(廣田恵子)
特別支援学校の看護職員について、学校に定着するための支援などについての御質問でございます。
特別支援学校において医療的ケアの必要な児童・生徒が、身体的にも安定した状態を保ち、安心して教育活動に参加できるよう、看護師資格を有する職員を配置しています。これらの職員には、主治医の指示書に基づく痰の吸引、経管栄養、導尿、インスリン注射等を行っていただいています。また、教員への指導、助言や、児童・生徒の健康状態の維持、改善を図るための自立活動の指導等、重要な業務を担っていただいております。
今年度は、9校に17名の看護師資格を有する職員を臨時的任用の常勤講師または非常勤職員として配置しています。任用期間は1年で、翌年度も任用する場合は、改めて任用を行っています。年度途中の離職状況については、平成28年度は1名、平成29年度は2名、平成30年度は2名ありまして、いずれも家庭の都合等によるものでございました。
離職には至っていないものの、看護師資格を有する職員が業務を遂行するに当たっては、指示を仰ぐ医師が学校にいないことが大きな不安要因であるとお聞きをしております。
このため、県教育委員会では、定着に向けた支援として、安全・安心に医療的ケアを実施できるよう、医療的ケア実施マニュアルを作成し、活用いただいているところです。
加えて、学校の要請に応じ、指導医や指導看護師を派遣し、助言等を行うとともに、看護師資格を有する職員の情報交換会や医療的ケアに関する専門性の向上を図るための研修会を実施しています。
今後も、引き続き、このような取組を進めるとともに、看護師資格を有する職員が事情により学校現場を離れる場合には、近隣他校での任用紹介、ナースセンターへの届出制度や、同センターで実施している再就業に向けた復帰支援研修会などの情報を提供していきたいと考えております。
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村林聡
御答弁ありがとうございます。様々な事業でフォローしていただいておるということがわかりました。
しかし、処遇、立場としては期限つきで、1年ごとの更新であるというお話であります。こういう処遇ですと、なかなかお給料についても上限があって、一生の仕事として捉えるのは厳しいのではないかなと感じる次第です。
でありますので、そうであるならば、せめて人材の循環、流動性を確保するべきではないかと思うわけです。看護資格を持つ貴重な人材職員でありますから、例えば特別支援学校には夜勤がないわけで、子育てや介護などの事情で病院勤めができない方に来てもらう。そして、退職するときはお話がありましたけれど、離職届を徹底する。さらに学校からも、先ほど届出の代行の話がありましたけれども、学校からもできれば代行していただきたいと思います。そして、また事情が許せば病院へ復職してもらう。こういう人材の流動性を確保するというのが重要なのではないかと感じました。ぜひとも制度上の限界があったとしても、できる限り報いていただきたいとお願いを申し上げまして、この項目を閉じさせていただきます。
以上で私の予定しておりました質問が全て終わりまして、時間もちょうどまいっておりますので、円滑な進行に御協力いただきました執行部の皆様に感謝を申し上げまして、質問を終結させていただきます。
ありがとうございました。(拍手)